佐藤琢磨は、インディカー第14戦トロントの決勝レースで今シーズンの自己ベストとなる5位でゴールラインを切った。カナダ最大の都市トロントでのダブルヘッダーは、土曜日に予定されていたシリーズ第13戦が雨で延期になり、日曜日に2レースが行われる異例のスケジュールとなった。
どちらのレースも周回数は85周から65周に減らされたが、2レース目として開催されたシリーズ第14戦は途中から雨に見舞われ、フルコースコーションも多発。「80分を越えてからは新しい周回に入らない」というあらかじめ設定されていたルールが適用され、56周でゴールとなった。第13戦の決勝が日曜日に開催されたことにより、第14戦の予選は実施せず、代わりに第12戦アイオワ時点でのチャンピオンシップポイントの順でグリッドが決まった。夕方の4時過ぎ、メインストレート上に並んだ23台のマシンは、スタンディング方式でレースのスタートを切った全員がドライタイヤを装着して始まったレースは、10周を過ぎたところで小雨が降り始め、一転してウエットタイヤが有利な状況となった。そして、レースが終盤に入った40周目過ぎに路面が乾き、ドライタイヤの方が速く走れるコンディションに変わった。コース状況が大きく変化したレースは、アクシデントの多発によるフルコースコーションの影響で65周ではなく、80分間でゴールが迎えられることとなった。その結果、タイヤ交換をタイミングよく行う判断を下したチームと、グリップが低い路面でのドライビングで優れていたドライバーのコンビネーションが活躍した。ゴールを目前にして7台以上が絡む多重アクシデントが発生し、フルコースコーションのままゴールとならないよう、赤旗が出された。レースの最後は、残り3周でのスプリントが繰り広げられるエキサイティングでドラマティックな戦いとなり、後方22番グリッドからスタートした佐藤琢磨が、攻撃性と冷静さの両方を保ってバトルをし続け、今シーズンの自己ベストとなる5位でゴールラインを切った。佐藤琢磨 (5位)「不運がずっと続いていましたが、チームはモチベーションを失くすことなくがんばり続けてくれていました。そして今日、トロントでのレース2で私たちは力を取り戻し、よいレースを戦えたと思います。天候によって路面が変化し、ドライからウエットへ、そしてまたドライへとタイヤを交換しての複雑な戦いになっていましたが、レース中盤にポジションを上げ、ピットクルーたちの素早く確実な作業もあって、レース終盤にはさらに上位へと進出することができました。Honda勢のトップとなる5位でフィニッシュできたことをとてもうれしく、そして誇りに感じます。今日のこのレースで不運は完全に吹き飛ばせたでしょうから、次戦からのシーズン終盤戦では、さらに力強い戦いぶりを見せていきたいと思います」