ダニエル・リカルドは、今週末のアルファタウリでのF1復帰に向け、マクラーレン時代に陥ったような『罠 』に陥るのを避けることを目指していることを認めた。シルバーストーンでレッドブルRB19を駆り、ポジティブなテストを行ったリカルドは先週、ニック・デ・フリースに代わって2023年シーズンの残りをアルファタウリで戦うことが発表された。
リカルドは今季わずか2ポイントしか獲得できず、コンストラクターズ選手権で最下位に沈んでいるアルファタウリでのカムバックとなる。リカルドはモンツァで2012年以来となる優勝を飾ったものの、マクラーレンのF1マシンではコーナー進入時の限界を克服できず、苦境に立たされていた。アルファタウリのAT04には独自の欠点があると予想する34歳だが、リカルドは初参戦の前にマシンに対する先入観を持たないようにする決意があると語った。マクラーレンのF1マシンで抱えていたコーナー進入の不安定さについて聞かれたリカルドは「それがここ数年の僕を苦しめていたんだと思う。『このクルマは僕には合わないから、これとこれとこれを克服する必要がある』というような、ちょっとした罠にはまり始めた」と説明した。「自分自身の最大の敵になることもある。マクラーレンでの最初の予選を振り返ってみると、僕はとてもいい予選をしたし、そのときはある意味でまだ何もわかっていなかった」「だから、『クルマには限界がある』とはまったく思っていなかった。1週間前に運転したクルマほどフィーリングは良くないとは思うけど、それでもやっていくつもりだ」「シムで走らせてみたけど、フィーリングは問題なかった。シムではいい感触だった。それが反映されるかどうかはもちろん確認する必要があるけれど、明日走った後で聞いてみてほしい」アルファタウリのシミュレーターですでに1セッションを終えていることを強調したリカルドは、現在のチームで新たなスタートを切る必要性を改めて強調した。シルバーストンでテストしたレッドブルのマシンと、シミュレーターで試したアルファタウリとの違いについて尋ねられたリカルドは「そうだね、確かに違う。いろんなことがあると思う」と語った。「開発、セットアップ、レギュレーション内での可能性の点で目標を定めることができるため、良い車を運転することは役立つ」「でも、そう言いながらも、僕の頭の中から多くのことを消し去って、アルファタウリで再出発する必要もある。これがすべてであり、これが現状であり、僕たちはここから前進する必要がある」リカルドはまた、不運に見舞われたマクラーレンでのキャリアの後期に味わったような轍を踏まないことの重要性も強調している。F1通算8勝を誇るリカルドは、2年間の苦悩から精神的に立ち直る時間が必要だったことを認めつつも、レッドブルでの最近の遠征がレースへの情熱を再発見させたと主張している。「ああ、多くのことを学んだよ。この2年間だけでなく、自分のキャリアを振り返ってみて、この半年で『ああ、ああすればよかったな、こうすればよかったな、ああ言えばよかったな』ということがいくつか見えてきた」「実際、シミュレーターは運転したけれど、先週まで8カ月もクルマに乗っていなかった。ドライビングに関しては何もしていない。F3にもゴーカートにも乗っていない。本当にスイッチを切っていた」「マシン(RB19)はとてもいいし、今のところグリッドでベストだと思うけど、ただ乗り込んで運転しただけだ。何も考えず、ただ走って楽しんだ」「明らかにタイムは良かったし、競争力もあった。 でも、ジュニアの頃は何も知らないし、何もわからない。ただ、好きなことだからレースをする」「学ぶべきことはたくさんあるだろうし、今週末にすべてを解決するつもりはない。つまり、自分が得意なことを活用することに集中することが重要だ。そして、それがよりポジティブな結果につながると思っている」リカルドはすでに、2025年にレッドブル・レーシングに復帰することを目標に、レッドブルの姉妹チームであるアルファタウリとの2度目の契約を結んだことを明かしている。その“夢”の移籍を実現させるためにはパフォーマンスを発揮しなければならないが、リカルドは残り11戦で自分に期待されることはないと強調する。「すでに次のチャンスを得ていると思う。これは状況を改善するためのまた別のチャンスのようなものだ」とリカルドは語った。「だからこそ、再びステアリングを握り、ある意味で本来の自分を見せることに興奮したんだと思う。それを考えただけでもワクワクする」「もちろん、夢はレッドブルのシートに座ることだけど、『これをしなければならない』というようなことはない。すべてがあっという間だった」「もちろん、テストは僕が最初にチェックすべき項目だった。それは素晴らしかった。でも、今は新たなハードルのようなものだった。それらは『気楽にやれ』という感じではなく、『持っているものを見せろ』という感じだった。でも、基準みたいなものはない」