2025年F1第6戦マイアミGPのスプリントレースが現地5月3日(土)に開催され、マクラーレンのランド・ノリスが優勝を飾った。レースは天候、戦略、そして接触による混乱が交錯する波乱の展開となり、セーフティカー導入直前のピットインという絶妙なタイミングを掴んだノリスが、同僚のオスカー・ピアストリを抑えて今季2勝目(※スプリント含む)を挙げた。また、レース後に3名にペナルティが科され、角田裕毅が6位に昇格した。
■出走前から波乱、ルクレールがグリッドへ向かう途中でクラッシュレースは開始前から波乱の様相を呈していた。スプリント直前にマイアミ・インターナショナル・オートドロームを豪雨が襲い、急激に変化した路面コンディションに対応しきれなかったフェラーリのシャルル・ルクレールが、グリッドへ向かう途中のアウトラップ中にコントロールを失いバリアにクラッシュ。マシンに大きなダメージを負い、スプリント出走を断念せざるを得なかった。このクラッシュにより、視界不良が懸念されるなかでフォーメーションラップが開始されたが、すぐに赤旗が提示され、全車がピットレーンに戻される事態となった。■アントネッリ、史上最年少ポール獲得も、スタートで順位を落とすこのスプリントのグリッドは、前日金曜日に実施されたスプリント予選で決定された。その最終セッションであるSQ3では、18歳のメルセデスドライバー、キミ・アントネッリが驚異的なラップを披露し、F1史上最年少となるポールポジション獲得を達成。ピアストリ、ノリスのマクラーレン勢を退け、頭角を現した。一方、角田裕毅はSQ1敗退で18番手に終わり、さらにサスペンションのセットアップ変更がパルクフェルメ規定違反と判断され、スプリントをピットレーンからのスタートとなった。■混迷のコンディション下でスタート、ピアストリがトップ奪取天候はその後回復し、インターミディエイト(浅溝)タイヤでの再スタートが決定。セーフティカー先導によるフォーメーションラップを経て、15周での再開となった。スタートでは、アントネッリが蹴り出しに失敗。ターン1でインを突いたピアストリがトップに立ち、ノリスとフェルスタッペンにも先行を許して4位に転落。アントネッリは無線で「押し出された」と報告したが、この一件は審議対象とされず、不問とされた。序盤はピアストリが1.7秒のリードを築き、ノリスがこれを追う。後方では、ハミルトンがアルボンを、ラッセルがアントネッリに迫り、各所で接戦が展開された。■角田裕毅が最初のギャンブル、スリックへの交換がレースを分ける11周目、角田が最初にインターミディエイトから中古ミディアムに交換し、スリック勢の先陣を切る。これにハミルトン(ソフト)、ストロール、サインツ(ともにミディアム)が続いた。ピアストリとノリスはコース上に留まったが、タイヤのグリップが急激に落ちる中で判断が分かれた。続いてフェルスタッペンとアントネッリが同時にピットインするが、ここで事件が発生。レッドブルがフェルスタッペンを送り出した瞬間、アントネッリが自らのピットボックスに進入しようとしたところと重なり、両者が接触。レッドブルRB21のフロントウイングが破損し、アントネッリはピット作業を受けられず、そのまま通過を強いられた。この行為は「アンセーフリリース(危険なリリース)」と判断され、フェルスタッペンには10秒のタイムペナルティが下された。■勝負の分かれ目――セーフティカー出動直前の“神タイミング”14周目、ピアストリがピットインしてミディアムへ交換。これによりノリスが暫定首位に浮上する。翌15周目、アロンソがクラッシュし、セーフティカーが導入されたタイミングで、ノリスが即座にピットイン。まさに完璧なタイミングでのピットストップとなり、首位のままコースへ復帰した。これにより、ノリスは実質的にトップを確定。レースはセーフティカー先導のままゴールを迎え、ノリスがスプリント初勝利を収めた。■レース後の審議で順位変動、角田裕毅は6位に浮上チェッカー後、アルボン(ウィリアムズ)はセーフティカー下の最低タイム違反、ローソン(レーシングブルズ)はアロンソとの接触、ベアマン(ハース)はピットでのアンセーフリリースがそれぞれ認定され、いずれも5秒加算ペナルティを受けた。これにより、当初9位だった角田が6位に繰り上がり、貴重なスプリントポイントを獲得。アントネッリも7位に復帰し、2戦連続でポイントを得る結果となった。■ランド・ノリスのコメント(レース後)「マイアミでは運が良いみたいだね。今日もいいペースだったし、難しい判断が多いレースだったけど、今回はセーフティカーのタイミングが完璧にハマった。去年も同じような展開で勝てたけど、今年もまたうまくいった。正直、こういう展開は日曜の決勝で来てほしかったけど(笑)、でもチームの皆の努力に感謝しているよ。素晴らしい仕事だった」■正式スプリント順位(修正後)1.ランド・ノリス(マクラーレン)2.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)3.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)4.ジョージ・ラッセル(メルセデス)5.ランス・ストロール(アストンマーティン)6.角田裕毅(レッドブル)7.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)8.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)9.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)10.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)11.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)12.エステバン・オコン(ハース)13.リアム・ローソン(レーシングブルズ)14.オリバー・ベアマン(ハース)15.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)16.ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)17.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)DNF.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)DNF.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)DNS.シャルル・ルクレール(フェラーリ)
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