レッドブルとフォードが開発を進める初のF1パワーユニットをめぐり、追加開発の権利を得た場合でも、短期的には性能アップグレードを実施しない可能性が浮上している。焦点となっているのは、エンジンそのものの改良ではなく、まずRB22のシャシー側の課題解消を優先するかどうかという判断だ。同時に、後れを取ったメーカーに開発機会を与えるADUO(追加開発・アップグレード機会)の適用時期についても、当初想定より前倒しされる方向で調整が進んでいる。
制度の運用次第では、レッドブルの戦略判断が2026年F1の勢力図を左右する可能性がある。レッドブルとフォードはPU改良を急がない可能性GPblogによると、レッドブルとエンジンパートナーのフォードは、仮にADUOの対象となった場合でも、短期的にはパワーユニットの性能アップグレードを見送る方向で検討しているという。ADUOは、基準とされるエンジンに対して一定以上の性能差があるメーカーに対し、開発機会を与える制度だ。現行の枠組みでは、メルセデスのパワーユニットが基準とされ、そこから2%以上遅れていると判断された場合にアップグレードが認められる。ただし、レッドブル陣営では現時点で最大の課題はエンジンではないとの見方が強い。ミルトンキーンズでは、まずRB22のシャシー改善を優先すべきとの判断が共有されているとされる。そのため、開発機会を得たとしても、即座にエンジン改良へ踏み切らず、車体側のパフォーマンス改善を優先する可能性がある。ADUO対象外となる可能性も一方で、そもそもレッドブルがADUOの対象とならない可能性も指摘されている。一部では、レッドブルのエンジンがICE性能では最も優れているとの見方もあり、その場合はADUOの対象から外れる可能性がある。開発機会そのものを得られないシナリオも排除できない。この場合、PU改良を見送るという判断は消極策ではなく、制度の枠組みを踏まえた現実的な戦略と位置付けられる。ADUOの判断時期は前倒しの方向もうひとつの焦点は、2026年F1シーズンにおいてADUOの適用判断をいつ下すかという点だ。当初は、4月開催予定だったレースの中止を受け、モナコGP後のシーズン第6戦終了時点で判断する流れが想定されていた。しかしGPblogは、そのタイミングをさらに前倒しし、ひとつ前のラウンド後に判断する方向で調整が進んでいると報じている。この件については、FIAとF1チーム代表らの会合での正式発表が見込まれていたが、現時点で明確な言及はなく、最終決定は来週に持ち越される見通しだという。フェラーリとメルセデスで分かれる見方ADUOをめぐっては、各チームの受け止め方も一致していない。フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、ADUOが「差を縮める機会になることを願っている」と期待を示した。一方で、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、制度の運用次第では本来の趣旨を逸脱しかねないと警戒感を示している。ヴォルフは、ADUOは「パワーユニット面で後れを取ったチームが追いつくためのもの」であり、「追い越すためのものではない」と強調している。制度設計と開発判断が今後の鍵今回の一連の動きが示しているのは、2026年F1においてパワーユニット開発の自由度が増す一方で、それをどう使うかは各陣営の戦略に大きく委ねられているという点だ。レッドブルとフォードが、仮に開発機会を得た場合でもすぐにエンジン改良へ動かず、まず車体側の改善を優先するのであれば、ADUOは単なる救済策ではなく、チーム全体の開発配分を映し出す制度として機能することになる。さらに、そもそも対象外となる可能性も含め、最終判断の結果次第では各メーカーのシーズン戦略そのものが左右されることになりそうだ。
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