レッドブル・レーシングは、2025年F1メキシコGP初日のフリー走行でマックス・フェルスタッペンのRB21に改良版フロアを投入した。高地特有の冷却条件に対応するためのアップデートであり、チームは空力パッケージの熟成をさらに進めた。メキシコGPでは角田裕毅のRB21に最新版フロントウイングが搭載され、フェルスタッペン車と同一スペックとなった。
しかし、両者の空力パッケージは完全に同一ではなく、フェルスタッペン側には新仕様のフロアが導入されている。改良フロアの狙いと効果FIAに提出されたアップデート概要によると、フロアボディには局所的な空力負荷の最適化を目的とした改良が施されている。ラジエーターダクト入口上部およびサイドポッド分割線付近の上面形状が微調整され、外側フロアフェンス後方に新しい上面構造が追加された。これにより、ラジエーター周辺の冷却効果が向上し、同時に空力面でわずかにダウンフォースが増加する設計となっている。今回の変更は既存のフロア仕様をベースに、メキシコGP特有の高地環境下での冷却ニーズへの対応を意図したものだ。さらに、エッジウイングもフロア形状との整合性を図るため前縁部の形状が改修されている。上面を低くして気流を整えることで、わずかに高い空力負荷を得つつ、安定性を損なわない設計に仕上げた。初日テスト:リンドブラッドが走行初日のフリー走行1回目では、フェルスタッペンに代わってアービッド・リンドブラッドが走行を担当し、この改良版フロアを早速テストした。リンドブラッドは序盤にフロービズ塗料を用いた走行を行い、空力評価を実施。1分18秒997のタイムで6番手につけ、1分19秒090の角田裕毅を0.093秒上回った。改良版パッケージのポテンシャルの高さを示す結果となった。フェルスタッペンがFP2で首位続くFP2ではフェルスタッペン自身がこの改良版フロアを走らせ、1分17秒392でトップタイムを記録。角田裕毅(1分17秒883)の7番手タイムに対し、0.491秒の差をつけており、新仕様の効果を改めて証明した。冷却強化パッケージの全体像レッドブルは信頼性と冷却性能の強化を目的として、フロア以外にも複数のアップデートを導入している。まず、ブレーキダクトのインレットとアウトレットを拡大し、低気圧で空気密度が低いメキシコ特有の環境でも安定したブレーキ冷却を確保。さらに、エンジンカバーでは上部ボディの排気口エリアを再設計し、排熱の流れを効率的に再分配する構造へと変更した。広いルーバー(通気スリット)を追加することで冷却効果も高めている。分析:空力効率と冷却の両立を図る進化型RB21今回の改良は、フェルスタッペンのタイトル争いを後押しするための“信頼性と空力の両立型アップデート”といえる。高地の薄い空気によって通常よりも冷却性能が低下しやすいメキシコでは、空力効率を維持しながら熱対策を講じることが重要だ。フロアとエッジウイングの連携改良によって、冷却性能を確保しつつダウンフォースをわずかに上積みしたRB21は、依然としてタイトル争いの主導権を握るパッケージに仕上がっている。
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