レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが、クリスチャン・ホーナーとの20年以上にわたる関係を振り返った。ホーナーは火曜日の午後、レッドブル・レーシングの全職務を解かれ、水曜日の朝にミルトンキーンズの本拠地でスタッフにその事実を伝えた。これにより、F1チーム代表としての20年に及ぶ在任期間は終わりを迎えた。
マルコとホーナーの関係は、2000年代初頭のF3000時代にまでさかのぼる。「F1でもF3000でも、クリスチャンとは20年以上にわたり非常に成功した関係を築いてきた。心から感謝したい」とマルコはレッドブル・レーシングのSNSを通じて声明を発表。「この間、我々は信じられないほど多くの成果を共に祝うことができた。2人のF1ワールドチャンピオンと、複数のグランプリウイナーを育て上げた。それこそが常に、そして今も、レッドブルのやり方だ」「現在のスポーツ的な状況について言えば、残り12戦あり、数学的に可能な限りドライバーズタイトルを争い続けるつもりだ」マルコとホーナーの関係は、表向きのプロフェッショナルな協力関係の裏で緊張が走ることもあり、時に敵対的な側面も見せていた。とはいえ、彼らのパートナーシップは計14回の世界タイトル、120勝以上のレース勝利を記録。セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンがその中心だった。近年では、レッドブル社内での勢力争いが激化。ホーナーがタイ側の立場、マルコがオーストリア側の立場を代表していたとされる。そしてフェルスタッペンがマルコ寄りだったことが、この対立に拍車をかけたという。特に2024年初頭には、スタッフからの告発によりホーナーのリーダーシップに重大な疑義が投げかけられた。この一件でマルコとの溝は深まり、レッドブル内の緊張感が一気に高まった。ホーナーは水曜朝、チームの全スタッフの前で直接別れの挨拶を行い、突然の決定にショックを受けたことを明かした。「私にとっても突然の知らせだった。ここ12時間でようやく受け止められるようになり、皆さんに直接お伝えして、これまでの20年半にわたる多大な貢献に感謝を伝えたかった」とホーナーは語った。「20年前にこのチームに来たときは、まだ白髪も少なかった。どんなチームか分からないまま足を踏み入れたが、すぐに温かく迎えてもらい、そこからF1の強豪チームを築き上げてきた」「このチームの一員であり続けること、それが私の人生で最大の誇りだった」ホーナー解任の理由は公式には明かされていないが、パフォーマンス低下、昨年の告発問題、フェルスタッペンの移籍リスクなど、複数の要因が重なった結果だと見られている。ホーナーの後任として、レーシングブルズの代表を務めていたローラン・メキースがレッドブル・レーシングのCEO兼チーム代表に就任した。