レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、アービッド・リンドブラッドがF1ドライバーラインアップ入りに向けて異例のスピードで準備が進められていることを認めた。17歳のリンドブラッドは、来週のF1イギリスGPで金曜フリー走行1回目(FP1)に出走する予定で、ドライブするのは角田裕毅のマシンだ。
今週月曜にはイモラでF1エミリア・ロマーニャGPの開催地となるサーキットを訪れ、岩佐歩夢とともに2023年型AT04を使用した過去車両によるテストプログラム(TPC)に参加。FIAからはスーパーライセンスの特別承認も受けており、グランプリ週末での実戦デビューに向けた準備が一気に本格化している。「月曜にイタリアで半日ほどクルマに乗って、彼の準備を進めた。そして彼はシルバーストンの金曜走行でも走ることになっている」とマルコはオーストリア紙『Kleine Zeitung』に語った。「彼はメンタルの強さと自信において際立っている。スウェーデンとインドのルーツを持つそのバックグラウンドも、レースに良い影響を与えているようだ」リンドブラッドは今季F2にカンポス・レーシングから参戦中で、レッドブル・ジュニアチームの最注目株として注目を集めている。これまでレッドブルは、岩佐歩夢をレッドブルとレーシングブルズの両チームに共通するリザーブドライバーとして起用してきたが、岩佐はスーパーフォーミュラとのスケジュール重複によりF1との両立が難しい場面が多い。そのためチームは、新たなバックアップ体制の構築に迫られていた。「我々は、マックス・フェルスタッペンのペナルティポイントの件で本当に何かが起こった場合に備えて準備している」とマルコは説明する。フェルスタッペンは現在、レース出場停止まであと1点に迫っている状態だ。「現在の代役候補はリンドブラッドと岩佐の2人だが、岩佐はF1と日本の予定が重なることが多い。あるレースでは、他チームとリザーブ契約を結んでいたこともあったし、一時期はひとりのリザーブドライバーが3チーム分の対応を任されていたこともある」「今すぐ起用できるトップコンディションのドライバーを見つけるのは簡単ではない。だからこそ、今リンドブラッドがクルマに乗っているんだ」一方、ジュニアプログラム全体については「依然として健全だ」とマルコは強調する。「ファン・パブロ・モントーヤの息子(セバスチャン)もF2にいる。我々には多くの有望な才能がそろっており、“スターは買わず、育てる”というモットーのもとで、常にプログラムを進化させている。ただ、F1は今非常に厳しい世界だというのも事実だ」その発言の真意について問われたマルコは、レーシングブルズのマシンは比較的扱いやすいものの、2025年型レッドブルを乗りこなせるのはマックス・フェルスタッペンだけだと認めた。「この2年間、我々のマシンには同じような傾向がある。縁石で跳ね、ターンインでアンダーステア、そしてオーバーステアに転じる。作動ウインドウは非常に狭い」加えて、今週末のF1オーストリアGPに向けて新たなアップグレードが投入されることも明かした。「オーストリアにはアップデートを持ち込む予定で、それはシルバーストンでさらに改良される。ただ、それでもうまくいかなければ選手権争いは厳しくなる。いや、すでに十分厳しい状況だがね」
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