レッドブル・レーシングは、F1チームは、2022年から2024年までのF1エンジンの開発凍結期間中に何らかの方法でパフォーマンスを均等化することに内々で合意していると主張する。ホンダのF1撤退後にルノーのカスタマーに戻ることを嫌ったレッドブルは、既存のホンダのF1エンジンを継続して使用するためにF1エンジンの開発を凍結するというロビー活動を実施。
その努力は成功し、レッドブルはホンダとF1エンジンの知的財産権を引き継ぐ契約を取り付け、自社でエンジンを運用するための会社『Red Bull Powertrains』を設立した。レッドブル・レーシングのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ホンダから引き継いだF1エンジンのネーミングライツを販売することなく、『レッドブル・エンジン』としてマシンに搭載する予定であることを明らかにしている。「エンジンはレッドブルと呼ばれる。メルセデスエンジンがメルセデスであるようにね」とクリスチャン・ホーナーは語った。現在の計画は、2025年にまったく新しい規制が施行されるまで、2022年から2024年に新たに発表された開発“凍結”の期間に向けてホンダベースのパワーユニットを準備することにある。レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務める「ホンダから何人かを引き受けることになるが、それ以外にも、この業界ではライバルから人材を引き抜くのは一般的なことだ」クリスチャン・ホーナーも「ホンダ関係者に加えて、今後数週間から数か月間でいくつかのポジションが追加されることになるだろう。ホンダとの取引により、我々にはそういった追加人材を見つけるのに十分な時間が与えられた」と続ける。報道では、2014年以降にメルセデスでF1エンジン責任者を務めてきたアンディ・コーウェルの名前が取り沙汰されている。コーウェルはまだメルセデスに所属してはいるものの、2020年6月にF1の第一線から退いている。「彼は驚異的な成功をおさめたメルセデスのエンジン部門において基盤となった人物だ。もちろん、この10年間のスポーツで達成したことは非常に印象的だった。彼は明らかにメルセデスとHPPが提供したものの要だった」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「彼は明らかにF1以外の活動を追求することを選んだと思う。もちろん、エンジンに関しては、彼は毎年結果を出してきた男だ。しかし、彼の興味は現在F1外にあると私は理解している。だが、私が知る限り、彼はF1の外で新たな挑戦を探しているようだ」また、レース用エンジンメーカーであるイルモアの創業者であり、かつてメルセデスのF1エンジン責任者を務めていたこともあるマリオ・イリエンの名前も挙がっている。ヘルムート・マルコは、このような噂について「まだ何も決まっていない。だが、例えば単気筒のベンチテストなどのサポートということであれば論外だとは思っていない」と語った。F1は、競争上の長所もしくは短所が2025年に次世代F1エンジンが導入されるまでの3シーズンで固定されないようにするために、F1エンジンの凍結にBoP(Balance of Performance、性能調整)を盛り込むと噂された。F1から正式な発表はないが、ヘルムート・マルコは、FIA(国際自動車連盟)が2022年から2024年の“凍結”中に介入して、F1チーム間でエンジン性能をより良く均等化できるように新しい合意が成立していることを確認した。「ハイブリッド規制が2024年に施行されて以来、エンジンがメルセデスのように再び優れているということはあってはならない」とヘルムート・マルコは述べた。クリスチャン・ホーナーも今回の合意は「レギュレーションとしては理想的ではない」と認めつつも、FIAはマニュファクチャラーと協力してパフォーマンス差を調整することができると語った。「レギュレーションの範囲内には何もないが、メーカーが不調に陥った場合に備えて、それに対処するためにそれぞれがFIAをサポートするメーカー間の合意がある」とクリスチャン・ホーナーは語った。「したがって、レギュレーションの範囲内ではないが、事実上、それが発生した場合に対処するために各メーカーが取り組んでいる」「それはFIAに当事者をテーブルに連れて行くのに必要な権限を与える。これは重要であり、特に各OEMのトップレベルから明確な理解がある」
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