2020年のF1世界選手権の開幕は新型コロナウイルスによって先が見えない状況となっているが、レッドブル・ホンダF1とメルセデスとの対立は深まっている。今年、ホンダF1とのパートナーシップ2年目を迎えるレッドブルは、2013年を最後にメルセデスに明け渡すことになったF1ワールドチャンピオンの座を奪還するべく、積極的なアプローチをとっている。
開幕前にはメルセデスの新車W11のリアブレーキダクトの違法性を指摘。FIA(国際自動車連盟)は違法と判断し、技術指令を発行している。また、F1オーストラリアGPでメルセデスがDAS(デュアル・アクシス・ステアリング)を使用して走行していた場合には抗議すると揺さぶりをかけていた。そして、メルボルンでは最初はレッドブルとともにF1オーストラリアGPの開催を支持する側に立っていたメルセデスは、土壇場で親会社ダイムラーからの電話によって立場を一転。メルセデスが中止派に回ったこともイベント中止の一因となった。レッドブル・ホンダのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「我々はより厳しい予防策を講じ、パドックを完全に閉鎖(無観客)することについて話をしていた。全チームが合意すれば、保健当局とFIAも合意していた。多くのチームが考えを変え、レースをすることは望まなかった。プロモーターに選択の余地がなく、レースをキャンセルしなければならなかった」と語る。モータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも我々は「レースをする準備はできていた。他チームも準備はできていたが、たぶんエンジンがなかっただろう。ある人が何回か心を変えたからだ」と皮肉る。さらにFIAとフェラーリの“秘密の和解”に対する抗議の先頭に立っていたメルセデスだったが、その後、フェラーリのジョン・エルカン会長とダイムラーの最高経営責任者(CEO)のオラオラ・ケレニウスとの間で会談が行われ、メルセデスはこの問題から退いた。「メルセデスは突然の通知で撤退した」とヘルムート・マルコは語る。だが、レッドブル・ホンダF1は今のところフェラーリとFIAへの抗議を進めている。「このすべてのことに後味の悪さが残っている。我々にとっては多額のお金だ。チャンピオンシップで2位か3位かでは2,000万ドルの差があるし、従業員へのボーナスの支払いも違ってくる。このままにしておくことはできない」
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