2007年のF1ワールドチャンピオンであるキミ・ライコネンにまつわる逸話が、元F1チーム代表のオトマー・サフナウアーによって明かされた。ロータス時代、チームから給与が支払われていなかったことへの抗議として、スポンサーイベントの直前に頭を丸刈りにしたというものだ。ライコネンはフェラーリ、マクラーレン、ロータス、ザウバー、アルファロメオで活躍し、2021年限りでF1を引退した。今回語られたエピソードは、財政難に陥っていたロータス時代の出来事とされている。
“シャンプーイベント”前日に丸刈りにしたという逸話元アストンマーティンおよびアルピーヌのチーム代表であるオトマー・サフナウアーは、ポッドキャスト番組でライコネンに関する興味深い話を紹介した。サフナウアーによると、当時ロータスは資金繰りに苦しんでおり、ライコネンへの給与支払いが滞っていたという。「こんな話を聞いたことがある。ロータスのスポンサーにレクソーナがいた頃の話だ」「チームは財政的に苦しく、キミは給料を受け取れていなかった」「それでもキミはレクソーナのイベントに出席しなければならなかった。確かレクソーナはシャンプー関連の商品だったと思う」「キミは給料が支払われていないことにかなり腹を立てていて、そのシャンプーイベントに行く前に頭を丸刈りにしたらしい」「そう聞いたんだ。もちろん本当かどうかは分からない。でもキミならやりかねない。それがキミだからね」ライコネンは感情を表に出さない“アイスマン”として知られていたが、その一方で納得できないことには独自のやり方で意思表示する人物としても知られていた。“アイスマン”の裏にあった徹底したプロ意識この逸話に対し、元フェラーリおよびウィリアムズのレースエンジニアであるロブ・スメドレーも同調した。「彼なら本当にやっただろうね。間違いなくやったと思う」ライコネンには「無頓着でのんびりした性格」「酒好き」というイメージが付きまとっていたが、スメドレーは実際には非常に勤勉なドライバーだったと証言する。「世間には“のんびりしていて無頓着”“酒が好き”というイメージがある」「確かに酒は好きだった。でも彼は本当に一生懸命働いた。そして結果を出してから飲みに行っていた」「私に言わせれば、それが理想的だ。やり過ぎて次のレースに影響を与えてはいけないからね」さらにスメドレーは、ライコネンの意外な一面も明かした。「こんなことを言ったらキミに怒られるかもしれないが、一緒に夜遊びした翌日、私はベッドから出られなかったことがある」「だがキミは朝6時にはトレッドミルで走っていたんだ」“アイスマン”伝説が今も語り継がれる理由ライコネンは寡黙で飾らないキャラクターによって世界中のファンから愛されたが、その人気は単なる個性だけによるものではなかった。給与未払いに対する“丸刈り抗議”の真偽は定かではないものの、サフナウアーやスメドレーの証言からは、自分の信念を貫く一方で、誰よりも努力を惜しまないプロフェッショナルとしての姿が浮かび上がる。引退から5年が経った現在でも、キミ・ライコネンがF1史上屈指の愛されるチャンピオンであり続ける理由が、このエピソードには凝縮されている。