2016年のル・マン24時間レースの勝者となったポルシェは、残り数分に非情なトラブルに見舞われたトヨタのパフォーマンスが「感動的だった」と敬意を表した。トヨタとポルシェは終始トップ争いを展開。ラスト2時間ではトヨタの5号車がおよそ30秒のリードを維持しており、勝利は確実と思われた。
ポルシェは、残り15分でパンクによって2号車がピットインを強いられたことで中嶋一貴に1分以上のリードを許しており、その時点では敗北を受け入れていたと認めている。しかし、トヨタは残り6分の段階でパワーを失い、最終ラップのスタートでニール・ジャニに勝利を手渡すことになった。ポルシェのLMP1担当副社長を務めるフリッツ・エンツィンガーは「まず、今回のレースでトヨタが見せた感動的なパフォーマンスに対して敬意を払いたいと思います」とコメント。「彼らとは素晴らしい戦いができました。フィニッシュ直前まで、私達は2位になるだろうと思っていましたが、突然にル・マン2連勝を獲得することになりました」チーム監督のアンドレア・ザイドルもトヨタへの同情を示したが、レースを通して厳しいプレッシャーをかけ続けたことも優勝に繋がったと考えている。「まず、ケルンの仲間であり友人であるトヨタの無念をお察しします」とアンドレア・ザイドルはコメント「このような偉大なレースでの優勝を最終ラップで逃すことは、どんなに手強いライバルにも起こって欲しくないことです」「しかし、モータースポーツでは最後まで何が起きるかわかりません。これこそ私達がこのスポーツを愛して止まない理由でもあります」「激しい戦いの末に得た勝利です。私達は、トヨタにプレッシャーをかけ続け、レース全体を通じて全力を出し切りました」「また、ドライバー達もよく頑張りました。トップの入れ替わりが激しいレースでもありました」ポルシェのドライバーたちも、トヨタに同情を示している。2号車でポールポジションを獲得したニール・ジャニは「トヨタのドライバー達の気持ちを考えると悲しくなります」とコメント。「レーシングドライバーであれば誰でも、それがどのようなものか痛いほどわかると思います」元F1ドライバーのマーク・ウェバーは「今日トヨタに起こったことは受け入れ難く、残念なことです」と語り、ティモ・ベルンハルトは「トヨタチームの皆さんは残念でした。あのような形での敗退は残酷です」と述べた。