2017年 ル・マン24時間レースはドラマチックな結末を迎え、ポルシェが19回目の総合優勝を獲得した。ポルシェのアール・バンバー、ティモ・ベルンハルト、ブレンドン・ハートレーが駆る919ハイブリッドのカーナンバー2は、土曜日の18:30時点でフロントアクスルドライブのトラブルのため、1時間5分に及ぶ修復作業が必要となり、18ラップの遅れをとった上に、フロントアクスルの駆動力を失っていた。
しかし、85回目のル・マン24時間耐久レースでは予期せぬ出来事がいくつも起こり、チームが一丸となって戦った結果、3人は総合順位56位から優勝まで上り詰めることができた。レコードホルダーであるポルシェは、世界最高峰のル・マン24時間レースにおいて3連覇、計19回目の優勝を誇ることとなり、昨年に続きトロフィーを獲得できた。2015年以降ポルシェ919ハイブリッドをドライブするアール・バンバーは、2度目の優勝となる。ティモ・ベルンハルトにとっても2度目のル・マン優勝となった。彼は2010年にアウディチームで初優勝を記録して以来、いつかポルシェチームで優勝したいと話していた。一方、ブレンドン・ハートレーはポルシェLMPドライバー6人の中で、優勝経験がなかったため、トロフィーに自身の名前が刻まれることを最も強く望んでいた。10時間以上レースをリードしていたカーナンバー1のポルシェは、午前11時過ぎにコース上でストップしてしまい、望みはカーナンバー2に託された。ハートレーは連続スティントで徐々に順位をあげて行った。312周目で最後の燃料補給を行い、325周目でベルンハルトへドライバー交代をした。すべてのLM P1レースカーがリタイアもしくは遅れていたため、LM P2レースカーが首位を走っていた。12:50には、919ハイブリッドは首位のレースカーと同ラップ(レースラップ330)に追いついた。338周目を終えて、ベルンハルトは燃料補給を行い、347周目でトップに立った。360周目で最後の燃料補給を終え、素早くコースに戻った。367周目を終え、ベルンハルトはチェッカーフラッグを受け、チームの夢を叶えることができた。ミカエル・スタイナー (ポルシェAG R&D責任者)「ル・マン3連覇はポルシェにとって夢であり、夢を実現させた今回の優勝はチームにとって特別なことです。長時間にわたるピットでの修復などがあっても諦めなかったポルシェチームを非常に誇りに思っています。今回の優勝は我々のE-Performance技術と革新的なハイブリッド技術の賜物と誇りに思います。」フリッツ・エンツィンガー (LM P1代表)「2017年シーズンの大きな目標は、ハットトリックを達成することでした。この24時間では夢にも思わないようなことを経験し、実現することができました。今回の24時間レースでは、レースカーもチームメンバーも極限まで追い込まれました。チーム全体が一丸となって努力することで、驚くべきことが達成できます。一番早いレースカーより、一番優秀なチームを持つことが大切です。このチームは世界最高のチームです。だからこそ、優勝することができました。ポルシェ社員や世界中のファンからのリアクションは圧倒的なものでした。とにかく私をこの素晴らしいプロジェクトの責任者に任命してくれたポルシェと、一致団結し素晴らしい貢献とチームプレイを発揮してくれたチームメンバーの一人ひとりに感謝しています」アンドレアス・ザイドル (チーム監督)「今回の結果にはとても驚いています。何と言っていいかわかりません。ドライバーを含めたチームメンバー全員は最高の仕事を見せてくれました。ここ2週間は多くの苦労をし、浮き沈みが激しかったですが、ポルシェスピリットを胸に頑張りました。今回達成したことを実感するまで、少し時間がかかりそうです。ル・マン3連覇は、本当に素晴らしいことです。チームはこれまで12ヶ月諦めずに頑張ってくれました。トヨタは強力なコンペティターでした。トヨタは我々を限界の先まで追い詰め、お互いにその代償を払うことになりました。ニール・ジャニ、アンドレ・ロッテラー、ニック・タンディの3人は長時間レースをコントロールしていたので、リタイアしてしまったのは残念です。しかし、アール・バンバー、ブレンドン・ハートレー、そして特にティモ・ベルンハルトは優勝にふさわしいと思います。ティモはプログラム当初から開発ドライバーでした。長時間の修理があったにもかかわらず、彼らは頑張り続け、その努力が報われたのです」アール・バンバー (ポルシェ919ハイブリッドカー カーナンバー2)「1時間にわたってピットでの修復をしたあと、順位が大きく落ちてしまったので、今回の結果には非常に驚いています。ブレンドンもティモもポルシェLM Pプログラム当初から頑張っていますし、ピットのチームメンバーも頑張ってくれました。彼らの努力がなければ、レースカーの復帰も優勝も不可能でした」ティモ・ベルンハルト(ポルシェ919ハイブリッドカー カーナンバー2)「今回の優勝がまだ現実とは思えません。1999年にジュニアドライバーとしてポルシェチームに入ったときから、ル・マンに参戦し優勝することを夢見ていました。いつかそのレベルまで成長できればと思っていました。18年後のいま、チームメンバーと一緒に達成することができました。最後のラップは感動的なものでした。この勝利を実感するまでに時間がかかりそうです」ブレンドン・ハートレー(ポルシェ919ハイブリッドカー カーナンバー2)「ル・マンはクレイジーなレースです。ピットクルーは土曜の夜、全力を尽くしてくれ、驚きの速さでレースに復帰させてくれました。それ以降、私とティモとアールの3人はエンジニアと共に、常に100%を出し切って、我々の努力が報われることを祈っていました」関連:【動画】 2017年 ル・マン24時間レース 決勝ハイライト
全文を読む