ピレリが、2020年のF1世界選手権 第14戦 F1トルコGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。メルセデスのルイス・ハミルトンが、非常にトリッキーな展開となったトルコグランプリを制し、ドライバーズタイトル4連覇達成とともに、史上最多タイとなる7度目のワールドチャンピオンに輝いた。
チントゥラートブルー・フルウエットタイヤで8周を走行したハミルトンは、チントゥラートグリーン・インターミディエイトへ交換し、フィニッシュまでの50周を走行した。レーシングポイントのセルジオ・ペレス、アルファタウリのダニール・クビアト、そしてハミルトンの3名のみが1ストップ戦略を採った。チントゥラートグリーン・インターミディエイトでスタートしたウィリアムズの両ドライバー以外の全員が、チントゥラートブルー・フルウエットタイヤでスタートした。クロスオーバーポイント(インターミディエイトがフルウエットよりも速くなるポイント)は、スタート後10周前後に訪れ、大半のドライバーにインターミディエイトへの交換を促した。その後、大半のドライバーが再度フレッシュなインターミディエイトへ交換した。インターミディエイトでスタートしたウィリアムズのジョージ・ラッセルは、オープニングスティント最長の32周を走行した。第2スティントでは、ハミルトンがインターミディエイトで50周を、ペレスがインターミディエイトで48周を走行した。スタート前には雨が降り、気温13℃前後の低温のコンディションが継続した。レースの進行に伴って路面は乾いていったが、滑りやすい路面とレース終盤に降雨の予報もあったことから、スリックタイヤへ交換するドライバーは皆無だった。■各コンパウンドのパフォーマンス【インターミディエイト】レースの大半で使用されました。また、ウイリアムズのみがインターミディエイトでスタートしました。第2スティントでは、全ドライバーがインターミディエイトを装着しました。その後のピットストップは、タイヤの摩耗度合いに依存しました。そのような中、ハミルトンは、インターミディエイトで50周を走行しました。このタイヤは中古のセットだったことから、正確には53周を走行したことになります。【フルウエット】大半のドライバーがフルウエットでスタートしましたが、使用された周回数は、58周で行われるレース中のわずか10周前後でした。レッドブルのアレクサンダー・アルボンは、フルウエットで最長となる12周のオープニングスティントを走行しました。マリオ・イゾラ(ピレリ カーレーシング責任者)「6番グリッドからのスタートで優勝し、7度目のタイトルを獲得したルイス・ハミルトンを祝福します。ハミルトンの見事なタイヤマネジメントは、この偉業達成に大変重要なことでした。ハミルトンは1回のストップのみを行い、インターミディエイトをフィニッシュまでにスリックタイヤのように変え、タイヤの能力を最大限に引き出しました。最初から非常に複雑なレースになることは明らかで、スタート時のウェット路面が徐々に乾いていくなか、不安定な天候状態に対応することが不可欠となりました。クロスオーバーポイントの見極めが鍵となりました。その最初のポイントは、フルウエットからインターミディエイトへの交換の判断でした。次に、レース後半、スリックタイヤがグリップする路面になっているか、もしくは再度インターミディエイトへ交換するかの判断でした。フルウェットからインターミディエイトへのクロスオーバーポイントの判断は、昨日のデータもあり、比較的シンプルでした。しかし、非常に稀なコンディション下、2回目のピットストップでのこれらのことを決めるのは、非常に複雑だったと思います」
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