ピレリが、F1シンガポールGPの決勝レースを振り返った。メルセデスのルイス・ハミルトンが、3ストップ戦略を最大限に活用し、シンガポールグランプリを制してドライバーズ選手権の首位に立った。ハミルトンは、スタートからの3スティントをP Zeroレッド・スーパーソフトで走行し、最終スティントをP Zeroイエロー・ソフトで走行してフィニッシュした。レースは、タイムリミットの2時間に達し、予定された61周より短いものとなった。
ルイス・ハミルトンは、4番グリッドからスタートして2ストップ戦略を採ったレッドブルの現世界王者セバスチャン・ベッテルの猛追を受けた。ベッテルは、スタートからの2スティントをスーパーソフトで走行し、燃料が最も軽くなる最終スティントをソフトで走行してフィニッシュした。チームメイトのダニエル・リカルドも同じ戦略を採り、フェラーリのフェルナンド・アロンソを抑えて3位を獲得した。セバスチャン・ベッテルは、2ストップ戦略によって一時はレース終盤にトップを走行し、タイヤ戦略が決定的な違いを生むことを見事に示した。両コンパウンド間にラップあたり約2秒のタイム差が存在したため、全ドライバーが速いスーパーソフトを装着してスタートした。各ドライバーによるその後のタイヤの使用方法は、戦略の鍵となり、その重要性を示した。レース中盤に発生した2台のマシンの接触によって、シンガポールのセーフティーカー導入率100%の記録は維持された。アロンソとマクラーレンのジェンソン・バトンは、7周のセーフティーカー導入周回を活用してピットインし、ソフトタイヤへ交換した。レッドブルおよびウィリアムズの両ドライバーは、セーフティーカー導入前にソフトタイヤへ交換するピットストップを行っていたため、レース前半で両コンパウンドの使用義務を消化していたことになる。セーフティーカーがコースを離れた後、ハミルトンは、ピットストップ後にトップで戻るために約25秒差までリードを広げる必要があった。しかし、ハミルトンは、52周目の最終ピットストップ後2位でコースへ戻り、ペースアドバンテージを活かしてベッテルからトップの座を奪った。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「今回も、多様な戦略が重要な役割を演じ、緊迫したエキサイティングなレースとなりました。グランプリ終盤、ハミルトンはベッテルよりもフレッシュなタイヤでベッテルを追うことになったため、優勝するためにはオーバーテイクするしかありませんでした。その前の状況においては、セーフティーカー導入周回終了後、ハミルトンはソフトタイヤへ交換してトップでコースへ戻るために、速いスーパーソフトで決定的となる30秒前後の差をベッテルにつける必要がありました。過去にも見られたように、多様な戦略が展開されたにも関わらず非常に接戦となったレースでした」関連:F1シンガポールGP 結果:ルイス・ハミルトンが優勝で首位奪還