ピレリが、F1カナダGPの決勝レースを振り返った。F1カナダGPでは、セバスチャン・ベッテルが、カナダのジル・ヴィルヌーヴサーキットで通算29勝目を挙げ、レッドブル・レーシングに、このサーキットでの初勝利をもたらした。セバスチャン・ベッテルは、P Zeroレッド・スーパーソフトでスタートし、その後の2スティントをP Zeroホワイト・ミディアムタイヤで走行する2ストップ戦略でレースを制し、チャンピオンシップのリードを広げた。
ウェットコンディションでの予選後、決勝は完全なドライとなった。スタート時に装着するスリックタイヤを自由に選択できる状況下で、トップ10ドライバー全員がスーパーソフトを装着してスタートを切った。ピレリのF1タイヤレンジで最も軟らかいスーパーソフトは、迅速なウォームアップを提供し、ミディアムよりもラップあたり1秒程速いスピードを示し、ベッテルのスプリント戦略の主要な要素となった。フォース・インディアのポール・ディ・レスタは、17番グリッドからミディアムタイヤでスタートし、独自性ある戦略にトライした中で最上位のドライバーとなった。ポール・ディ・レスタは、ミディアムコンパウンドで56周走行後、1回のみのストップを行い、7位入賞を果たした。その他では、ロータスのロマン・グロージャンとマルシャの両ドライバーのみが、ミディアムコンパウンドでスタートした。ウェットウェザーによって決勝前のスリックコンパウンドによる走行が非常に限定的だったため、摩耗やデグラデーションに関する情報が乏しい中、各チームは戦略に対して柔軟なアプローチを取らざるを得なかった。予測通り、摩耗とデグラデーションのレートはともに低いままだった。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「路面温度が昨日の予選時よりもかなり高くなり、カナダグランプリは、少し未知の領域に入った感じでした。カナダは、高いトラクション要求によって、リアタイヤにとって最もチャレンジングなサーキットのひとつです。特に、レース前に雨が降ると、水分がトラック上に乗ったラバーを洗い流してしまい、グリップレベルを減少させるため、その厳しさが顕著になります。このような状況にも関わらず、摩耗とデグラデーションは上位勢にとって想定の範囲内にあり、このレースの特徴でもあるグレイニングの発生もわずかでした。ニコ・ロズベルグがトップ10ドライバー中でただ一人3ストップ戦略を採ったことからも、メルセデスは高いレベルのデグラデーションに苦しんでいたようです。明らかに2ストップが順当な戦略でしたが、ポール・ディ・レスタは56周の第1スティントをミディアムタイヤで走行し、1ストッパーが可能なことを示す素晴らしい走りを見せてくれました」関連:F1カナダGP 結果:セバスチャン・ベッテルがポール・トゥ・ウィン