ネルソン・ピケJr.(元ルノーF1)は、2026年NASCARユーロシリーズ開幕戦の週末に応じたインタビューで、自身のF1キャリアを振り返り、2009年の離脱に至る経緯について率直に語った。ブリアトーレ体制下での判断やチーム内の状況に触れ、「自分のキャリアを任せたのは間違いだった」と明かしている。
多様なルーツと現在の活動ネルソン・アンジェロ・タムスマ・ピケ・ソウト・マイオールは、1985年7月25日にドイツ・ハイデルベルクで生まれた。幼少期はモナコで過ごし、その後ブラジルへ移っている。「正直、いろいろな場所の要素があるけど、やっぱり主にブラジル人だと思っている」現在はブラジルのストックカー・プロシリーズにも参戦しながら、2026年はアルミテック・レーシングからNASCARユーロシリーズに参戦。フォード・マスタングをドライブしている。サーキットよりもマシン適応20年前にGP2でポールポジションと勝利を記録したリカルド・トルモでの再走行について問われると、記憶よりも適応の重要性を強調した。「かなり昔のことだから正確には覚えていない。GP2の方が速いクルマだったのは間違いない。このサーキットは同じだと思うが、細かいところは覚えていない。重要なのはコースではなくクルマに適応することだ。このコースはテクニカルで難しいから、セットアップやタイヤを合わせることが重要になる」父ネルソン・ピケのスタンス父である3度のF1世界王者ネルソン・ピケの関わり方については、一定の距離を保っていたと明かす。「父はアドバイスをするタイプではなかった。一歩引いたところから見ている感じだった。常に関わっていたわけではなく、チームに任せていた。主にビジネス面で関わり、チームを正しい方向に導いてくれたが、ドライビングは自分に任せていた」ルノー加入時の現実2007年にテストドライバーとしてルノーに加入し、2008年にF1デビュー。当時のチーム状況については、タイヤ変更の影響が大きかったと振り返る。「2006年はとても強いチームだったが、その後は苦しんでいた。ミシュランからブリヂストンへの変更が大きかったと思う。2005年と2006年はタイヤとクルマの相性が完璧だったが、それを失った。2008年に競争力がなかった理由の半分以上はタイヤだったと思う」アロンソから受けた衝撃同年、チームメイトだったフェルナンド・アロンソの存在は大きな学びだったという。「フェルナンドから学んだのは、自分が考えていたよりも遥かに上にスピードの限界があるということだった。彼は非常に速く、ハングリーなドライバーだった。当時はキャリアの頂点にいて、最も倒すのが難しい相手だった。そして今でもグリッドで最高レベルの一人だと思う」また、長年にわたってF1で戦い続ける点にも言及した。「20年以上もF1にいるというのは本当に驚異的だ。簡単な環境ではないし、精神的にも肉体的にも厳しい中でそれを続けるのは尊敬に値する」ドイツGPでの手応え2008年ドイツGPでの2位については、運だけではなかったと語る。「ホームのようには感じなかったし、好きなサーキットでもなかった。ただ戦略がうまくいった。一度のピットストップだったが、レースの大半で争い続け、リードする場面もあった。運もあったが、フェラーリ勢を抑えながらポジションを維持できた。あのレースは自分がトップで戦えることを証明できたものだった」F1離脱の決断2009年の離脱については、当時のチーム代表フラビオ・ブリアトーレとの関係が大きく影響したと明かす。「フラビオの判断で契約を打ち切られた。自分のキャリアを彼に委ねたのは間違いだったと思う。彼は利益しか見ていなかった」その後の進路については明確だった。「その後、F1への情熱を失った。違うことをやりたいと思い、アメリカへ行き、NASCARで自分らしくレースを楽しむことができた」アメリカとの違いF1とアメリカのレース文化の違いについても印象的な見解を示している。「アメリカでは人々は純粋にレースが好きでサーキットに来る。F1では半分以上が“そこにいること”のために来ているように感じる」フォーミュラEでの成功その後参戦したフォーミュラEでは初代王者を獲得。適応力こそが鍵だったと語る。「どんなクルマでも与えられたものに適応するしかない。ラリーでもNASCARでもフォーミュラEでも同じだ。それが自分の強みだった」「タイトルを取った年は全車同一だったからこそ勝てた。もし差があったなら、もっとタイトルを取れていたと思う」現在のF1への見方現在のF1については、競争の重要性を指摘する。「複数のチームとドライバーが争っていれば、それでいい。問題は1チームが独走することだ。4〜5人が勝てる状況が理想だ」「8台が勝利争いをすれば、批判の半分は消えるだろう」新たな挑戦NASCARユーロシリーズでの今季については、まずチームの基盤作りを重視している。「新しいチームだから、まずはお互いを理解することが必要だ。少しずつ改善していきたい。異なる国籍のメンバーが集まっているので、コミュニケーションにも時間が必要だ」「最終的には自分の仕事をしっかりやり、チームの成長に貢献したい」走り続ける理由40代に差し掛かってもなお現役を続ける理由については、シンプルな答えだった。「これは仕事でもあるが、何よりも好きだからだ。体調も良く、まだ戦える。いずれは飽きる時が来るかもしれないが、今はまだ楽しんでいる」「すべてのドライバーは走ることを楽しんでいる。そうでないと言うなら嘘だ」キャリアの浮き沈みを経てもなお、ピケJr.はステアリングを握り続けている。その原動力は、変わらない競争への意欲にある。
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