元レッドブルF1ドライバーのセルジオ・ペレスは、2024年シーズン中に起きたエイドリアン・ニューウェイの離脱を「多くの問題の始まりだった」と語り、さらにはクリスチャン・ホーナーの電撃解任にまでつながったチームの混乱を振り返った。2023年に歴史的な強さを見せたレッドブルは、2024年も序盤はその勢いを維持していたが、5月に長年チームを支えたニューウェイが技術部門から手を引くと状況が一変。
終盤には勢いを完全に失い、コンストラクターズランキングでマクラーレン、フェラーリに次ぐ3位に転落した。マックス・フェルスタッペンが個人の実力で辛うじて4連覇を守ったものの、チームとしての支配力は完全に崩れた。「僕らはメルセデスのようにエンジンで圧倒していたわけじゃない。ごくわずかな差の中で、素晴らしいチームだった」「ニューウェイが去ったことで、多くの問題が始まった。それからジョナサン・ウィートリーもいなくなった。彼も非常に重要な存在だった」と、ペレスはスペイン語ポッドキャスト『Desde el Paddock』で述べた。2024年8月には、スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーもチームを去り、翌2025年4月からザウバー(来季からアウディ)でチーム代表に就任。そして2025年シーズン半ば、レッドブル内部の混乱はついに頂点を迎え、チーム代表のクリスチャン・ホーナーが突如解任されるという衝撃の事態に発展した。ペレスはまた、自身のキャリアにも影響を及ぼしたチームの内部事情についても赤裸々に語った。2024年シーズン前半、ペレスは開幕6戦中5戦でトップ5入りするなど好調を維持していたが、ニューウェイの離脱を境に失速。残る16戦では一度もトップ5に届かず、成績は急降下した。5月末のモナコGP時点でチームとの2年延長契約にサインしていたものの、契約は正式発効を迎える前に破棄され、同年末でレッドブルを離れることとなった。「モナコで契約を結んだあと、すぐに次のレースから僕の将来の話題ばかりが取り上げられた」「チームが“うちは契約済みのドライバーがいる”と一言言えばよかった。でもそれはなかった」「その結果、毎レースごとに僕の話題ばかりになって、ガレージ全体にプレッシャーがかかった。エンジニアにも影響したし、最終的に大きな代償を払うことになったと思う」と述べた。ペレスの後任として起用されたリアム・ローソンは2戦で降格され、代わって昇格した角田裕毅も8戦で最高位が9位と苦戦している。こうした混乱の中で、ペレスは「レッドブルは自分を手放したことを後悔している」と語る。「信頼できる筋から聞いた話では、彼らは本当に後悔していると思う。僕がそれを喜んでいると思われるかもしれないけど、違う」「僕たちは本当にいいチームだった。でもそれが少しずつ崩れていったんだ」ニューウェイは現在アストンマーティンで「マネージング・テクニカル・パートナー」として新レギュレーションへの備えを進めており、ペレスは2026年にF1参戦予定のキャデラックとの関係も噂されている。一時代を築いたレッドブルF1。その栄光の影で進行していた“崩壊”は、ペレスの証言を通じて、改めて明らかになりつつある。