レッドブル・ホンダF1に加入したセルジオ・ペレスは、今季の相棒『RB16B』が乗りたびに感触が良くなっていると語り、巡ってきたトップチームで戦うというチャンスを最大限に生かすつもりだと意気込んでいる。昨年、31歳のセルジオ・ペレスは、シート喪失が噂される中で新型コロナウイルスに感染して2レースを欠場。他チームのシートが埋まっていくなかでチームはアストンマーティンF1へとブランド変更する2021年に向けて4回のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルと契約し、ペレスの選択肢は潰えたように思えた。
したがって、セルジオ・ペレスは2021年に1年間の休暇を取る可能性についても口にさえしていた。しかし、12月のF1サヒールGPで運命は動き出す。セルジオ・ペレスは、オープニングラップで接触して最下位まで転落。しかし、そこからメルセデス勢のトラブルなどもあり、190戦目にしてF1初優勝。史上110人目のウィナーとなり、表彰台で半世紀ぶりにメキシコ国歌が流れた。そこに目をつけたのがレッドブル・ホンダだ。エースドライバーのマックス・フェルスタッペンをサポートできる自前ドライバーがいないレッドブルは、2007年のマーク・ウェバー以来となる外部のドライバーを起用することを決断。10年のベテランであるセルジオ・ペレスに白羽の矢を立て、ペレスの道は突然開かれた。セルジオ・ペレスにとっては、ルイス・ハミルトンの後任として2013年に壊滅状態のマクラーレンに加入して以来のトップチームでレースをするチャンスとなった。「自分はとてもハングリーだと感じている。成功に飢えている。人生に一度のチャンスであることは分かっている。それを最大限に活用したいと思っている」とセルジオ・ペレスはレッドブル・ホンダF1加入について改めて語る。「これは現実か?と思うことが数回あった。マシンに自分の名前が表示されているのを見たとき、スーツに自分の名前が入っていたとき、ここで働いているとき。『ワオ・・・僕はレッドブル・レーシングのドライバーなんだ』と実感する。僕のキャリアの最高の時期に巡ってきた大きなチャンスだ」マックス・フェルスタッペンとガレージを共有することは、過去3人のドライバーから“毒杯”であることが証明されている。セルジオ・ペレスも新たな犠牲者となる可能性があり、二人がどのようにやっていくかは今シーズの注目のストーリーのひとつでもある。昨年、セルジオ・ペレスは、メルセデス勢、マックス・フェルスタッペンに次ぐ、ランキング4位でシーズンを終えている。「レッドブルに加入することが分かってから、マックスという大きなチャレンジに直面することは分かっていた」とセルジオ・ペレスは語った。「彼は非常に完成されたドライバーだ。正直なところ、サプライズはなかった。彼は非常に強力なドライバーであり、それは自分にとって大きなチャレンジとなるだろう」「自分のキャリアに失うものは何もないという見方をしている。僕は幸運にも素晴らしいキャリアを積むことができたし、次に来るものはどんなものであっても素晴らしい」メルセデスF1は過去7回のドライバーとコンストラクターのタイトルを獲得しているが、レッドブルはさらに挑戦することを決意しており、セルジオ・ペレスはその中で大きな役割を果たすことになる。メルセデスF1はレッドブルが“クラスアクト”であると認識しており、テストのパフォーマンスでレッドブルが優位に立っていると語っている。「マシンの感触はいいし、乗り込むたびにどんどん良くなっていくだろう」とセルジオ・ペレスは語った。契約は1年間だけだが、セルジオ・ペレスはポジティブなことしか見ていない。「多くのドアが開かれる機会だ。その後どうなるか見ていくつもりだ」