米国のドナルド・トランプ大統領が、かつてニュージャージー州でF1グランプリを開催する構想に関与していたことを、アルピーヌのエグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレが明かした。当時、米国でのF1人気は現在ほど高くなく、ブリアトーレはトランプと当時のF1最高経営責任者バーニー・エクレストンを引き合わせ、ニューヨーク周辺での市街地レース開催を模索していたという。
米国で3戦を開催するまでに成長したF1現在のF1は、Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Formula 1:栄光のグランプリ』の影響もあり、米国で急速に人気を拡大している。サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われるアメリカGPは2012年からカレンダーに定着し、2022年にはマイアミGP、2024年にはラスベガスGPが加わった。現在では米国内で年間3レースが開催されている。さらに2026年には米国系チームのキャデラックがF1に参戦し、北米市場における選手権の存在感はかつてないほど強まっている。しかし、2007年を最後にインディアナポリスでのアメリカGPが消滅した当時、F1は米国で十分な評価を得られておらず、新たな開催地の確保に苦戦していた。ブリアトーレがトランプとエクレストンを仲介ブリアトーレによると、米国でのF1開催を復活させるため、自身がトランプとエクレストンの間を取り持ったという。当初はニューヨーク市内でのグランプリ開催が有力視されていたが、トランプは交通や行政上の問題を理由に、ニュージャージー州の方が現実的だと提案した。ブリアトーレは『The Race Business』の番組『In Conversation With…』で、当時の経緯を次のように振り返った。「もちろん、ドナルドもF1については何も知らなかった。でも、彼は優れたプロモーターだった」「当時はボクシングをプロモートしていたし、ラスベガスでもあらゆるイベントを手がけていた」「僕がドナルドとバーニーを話させた。僕はドナルドのオフィスにいて、バーニーと映像をつなぎ、ニューヨークでレースを開催するならどこが最適かを話し合った」トランプはニュージャージー開催を提案トランプはニューヨークでの開催には多くの障害があると指摘し、代替案としてニュージャージーを推したという。「ドナルドは、ニューヨークはさまざまな理由で非常に難しいが、ニュージャージーなら開催できると言った」「それでバーニーは、ニュージャージーの2人か3人の関係者と交渉を始めた」ニュージャージーでは、マンハッタンの高層ビル群を背景にハドソン川沿いを走る市街地レース構想が長年にわたって検討された。だが、資金面や運営面の問題から計画は進展せず、実際にグランプリが開催されることはなかった。当時の米国ではF1の価値が認められずブリアトーレは、計画が失敗した最大の理由として、当時の米国でF1が特別なスポーツとして認識されていなかったことを挙げた。「でも、僕たちは成功できなかった。F1は特別なものだと考えられていなかったからだ」「NASCARやインディカーについて話すのとは、まったく違うビジネスだった。当時のF1には、ほとんど価値が認められていなかった」現在ではマイアミやラスベガスで大規模な市街地レースが行われ、F1は米国スポーツ市場で重要な地位を築いている。一方で、トランプとエクレストンが関わったニュージャージー開催構想は、米国でF1人気が本格化する前に消えた未実現の計画となった。