ハンガリーGPでトップチームのフェラーリが導入し、シャークフィンはもはやF1の空力デバイスのスタンダードとなったといっても過言ではない。シャークフィンは、今シーズンの初戦からレッドブルが導入。第4戦スペインGPではルノー、第6戦モナコGPではトロ・ロッソ、第9戦イギリスGPではフォース・インディアが投入し、先のハンガリーGPでは、新たにフェラーリ、トヨタ、ホンダが取りいれた。
残りのマクラーレン、ウィリアムズもテストでシャークフィンを試しており、ブリッドウィングやリムシールドに続くF1のトレンドとなっている。ドーサルフィンとも呼ばれるこの背びれエンジンカバーの狙いは、ヨーイング(片揺れ)に対するマシンの敏感さを改善することにある。ヨーイングとは上下を軸として車体が左右に振られること。魚が尻尾を振るような揺れをイメージすると良い。これを車体後方の大きなエンジンカバーで整流することによりスタビリティを向上させる。しかし、大きく高さのある構造は重心が高くなり、横風の影響を受けやすいというデメリットもある。実際、マクラーレンは他の部分でヨーに対する埋め合わせができると判断し、シャークフィンの導入を見送っている。興味深いことに、トヨタはシャークフィンで風洞実験を行った結果、データ上ではメリットと言えるような数値は出なかったという。しかし、シャークフィンを搭載したマシンで走行したドライバーは、リアが安定していると感じるという。他チームではその逆もあるという。例えデータ的に大きな改善がなくても、ドライバーが安心して攻めることができるのであれば、効果的といえるのではないだろうか。全てがデータで管理される現代F1の中で、数値だけでなく感覚的な効果と点で、興味深いデバイスである。視覚的な“感覚”はあまり良くはないが...
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