MotoGP 第8戦 オランダGPの決勝で、Movistar Yamaha MotoGPのバレンティーノ・ロッシがアッセンTTサーキットで激闘の末、0.063秒の僅差で競り勝ち今シーズン初勝利を挙げた。チームメイトのマーベリック・ビニャーレスはグリッド11番手から順調にポジションを挽回していたが、第17コーナーで転倒してリタイアした。
バレンティーノ・ロッシはMotul TTアッセンの決勝で最上のレースを展開した。昨日までコンディションに苦労してきたが、ウイーク最終日を見事な勝利で締めくくった。グランプリ初優勝から20年と313日目、全クラスを通じての優勝の歴史が最長となった。一方、チームメイトのマーベリック・ビニャーレスはグリッド11番手から順位を上げてトップグループに近づいていたが、転倒によりリタイアした。灰色の雲が頭上に広がるアッセンTTサーキット。バレンティーノ・ロッシはグリッド4番手から好スタートを切り、ヨハン・ザルコ、M・マルケスに続く3番手。トップを狙う果敢な走りを見せ、3ラップ目と4ラップ目にはファステストラップを更新しながらついていった。そのすぐ後ろにはDペトルッチ。そしてまずマルケスの背後に迫り、第1コーナーでパス。次のラップで同様の方法でヨハン・ザルコも抜いてトップに躍り出る。そのあとの第4コーナーではヨハン・ザルコと接触するもバレンティーノ・ロッシがトップをキープ。4ラップ後には、2位以下がバトルを展開する間に少しずつリードを拡大していった。アドバンテージは約1秒まで広がったが、残り8ラップで雨が降り出したため、白旗が提示されてペースダウンを余儀なくされた。これで再び後続に追いつかれ、バレンティーノ・ロッシはトップを守るために、あらゆる手を尽くして必死の走り。そして残り5ラップでは一旦、ペトルッチに先行を許すが決してあきらめず、次ラップにてシケインで抜き返してYZR-M1の敏捷性を見せつけた。最後の数ラップは周回遅れも現れて予想外のドラマが展開されたが、バレンティーノ・ロッシは少しもぶれることなく前を見て走り切り、0.063秒差でトップチェッカーを受けた。チームメイトのマーベリック・ビニャーレスは、グリッド11番手から好スタートを切って1周目を10位で終了。その後の数ラップでタイヤを暖めてから、ペースを上げて順調にポジションを挽回していった。身体を伏せて懸命の走りを続けたマーベリック・ビニャーレスは、残り16ラップで4位争いのグループに追いついたが、シケインで転倒してそのままリタイアとなった。この結果、バレンティーノ・ロッシはシリーズポイントを合計108に伸ばしてランキング3番手に浮上。ノーポイントに終わったマーベリック・ビニャーレスはランキング2番手に後退し、バレンティーノ・ロッシとの差は3ポイントとなっている。コンストラクターズ・ランキングではヤマハが22ポイントをリードしてトップをキープ。チーム・ランキングでもMovistar Yamaha MotoGPがトップに立っており、2位以下に28ポイントのリードを保っている。Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコはポールポジションからホールショットを奪ってレースをリード。そのまま順調にペースを上げ、レース前半のほとんどでトップをキープした。終盤になって雨が降り始めると20ラップ目でウエット用マシンに交換する。コース復帰後、12番手まで挽回していたが、ピットレーンの制限速度オーバーでペナルティを科せられ、最終的には14番手という結果になった。ヨハン・ザルコのチームメイトのジョナス・フォルガーは、10ラップ目の第1コーナーで転倒してそのままリタイアした。予選では今季最高の6番手を獲得してグリッド2列目からスタートしていたが、コーナーで大きくはらんで後退する。ここから懸命に挽回を図るも転倒を喫し、今季初めてのリタイアに終わった。次回のホーム・グランプリでの再起を誓っている。Movistar Yamaha MotoGPバレンティーノ・ロッシ (優勝)「とてもうれしいです。その理由はふたつあります。ひとつは、チャンピオンシップのために非常に重要な勝利だったということです。そしてもうひとつは、1年ぶりにナンバーワンの場所に戻って来ることができて、この上ない特別な気持ちになれました。僕はまさに、このフィーリングを感じるためにモーターサイクル・レースをしています。決勝の最後の5、6ラップが最高でした。優勝はいつだってうれしいことですが、1年ぶりともなればまた格別です。今日はペトルッチやそのほかの大勢のライバルととてもいいバトルができましたし、技術的な面から見ても、シャシーを変更するなどチーム全員が懸命に取り組んできて、今では僕の思い通りにマシンを走らせることができました。チャンピオンシップは何が起こるかわかりません。今シーズンはいつも以上に激しくて、レースのたびに状況が大きく変化しています。次回のザクセンリンクでもまた、ただ懸命にベストを尽くして戦いたいと思っています」マーベリック・ビニャーレス (リタイア)「どうして転倒してしまったのかは自分でもわかりません。あのコーナーはもう2,000回くらいは通っていますが、今日初めてあんなことが起きてしまいました。ひたすらトップを目指し、限界を超えたプッシュをしてしまったのかもしれませんが、もしも転んでいなければ、必ず追いついていたはずです。そのくらい僕のペースは速かったのです。このようなことにならないようにするためには、予選で最低でも6番手には入らなければならないことを思い知らされました。だから僕の失敗は今日ではなくて、昨日すでに起きていたのだと思っています。決勝中はマシンのフィーリングが素晴らしく、タイヤを温存しながら最後の10ラップでのバトルに備えていました。コースのどのセクションでもスムースに走ることができていて、ライバルたちよりずっと順調でした。転倒について説明することは難しいです。でもそこから多くを学んだことだけは間違いありません。予選で失敗し、後方からのスタートとなれば厳しい展開は初めからわかっていました。だからこそベストを尽くしましたが、それはまさに'オール・オア・ナッシング'です。そして僕は結局、すべてを失ってしまいました。ここからまた復活を目指し、新たな道を切り開いていきたいです」マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)「ドラマに満ちた、非常にエキサイティングなレースでした。バレンティーノはここアッセンで常に注目されてきましたが、今日も約束通...
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