2018年 MotoGP シーズン4戦目、ヨーロッパラウンドのオープニングレースとなったスペインGPは、アンドレア・イアンノーネが前戦アメリカズGPに続き3位表彰台を獲得し、チャンピオンシップでは4位に浮上。トップグループ走行中のレース序盤に痛恨の転倒を喫したアレックス・リンスは、シーズン最初の母国GPを悔しいリタイヤで終えた。
朝のウォームアップでは、イアンノーネがトップから僅か0.201秒差で2番手につけ、決勝に向けての確実な手応えを得た一方、リンスはこのセッションでは、25周で行われる決勝に向けて最後のマシン調整を行い、共に決勝に備えた準備を完了。決勝ではイアンノーネ、リンス共に好スタートを切り、どちらもトップグループに滑り込み、それぞれ予選順位と同ポジションを維持。序盤、イアンノーネはペースアップに苦しむも、リンスは徐々にペースを上げ、前をオーバーテイク。さらなるポジションアップを狙って虎視眈々と走行中の6周目に転倒を喫し、再スタートが切れないままリタイヤとなった。レース18周目に3位争いグループの3人のライダーが揃って転倒し、新たな3位争いは、それまで6番手を走行していたイアンノーネの走る4人のグループに。路面温度が上がり、ペース維持が難しい中、4人の3位争いを制したのは、最後までペトルッチ(ドゥカティ)との激しいバトルをみせたイアンノーネで、前戦アメリカズGPに続き、2戦連続の3位表彰台獲得となった。スズキにとって3連続表彰台は10年ぶり。イアンノーネのシーズンランキングも6位から4位へとジャンプアップした。アンドレア・イアンノーネ (3位)「マシンのフィーリングも良かったし、なんと言っても2戦連続で表彰台を獲得できたことは最高に嬉しいね。チームにとっては3戦連続表彰台だし、僕らに良い流れが来ているのを感じるよ。チームの皆が本当に一生懸命仕事してくれているし、それが結果に繋がっているわけだから、この流れを切らないようにしないとね。ひとつだけ後悔しているのは、グリッドでタイヤをミディアムからハードに変えたことかな。この週末ミディアムでずっと良いペースで走れていたから、もしミディアムで決勝を走っていたら、さらに良いペースで走れたんじゃないかと思うんだ。でも、これも勉強だと思うことにするよ。表彰台を獲得できたのは確かに運もあったけど、決勝は路面温度が上がって滑りやすい状態だったし、ミスを犯さずにグループのトップでゴールするのにはそれなりに頭も使ったよ。だから今日の表彰台は素直に嬉しいし、誇りに思うよ」アレックス・リンス (リタイア)「何が起こったのかよく分からないというのが正直なところなんだ。マシンのフィーリングは良かったし、転倒するまでは良いリズムで乗れていたしね。ただスタート直後からフロントのフィーリングが昨日のFP4の時とはちょっと違っていたのは事実だった。データ上でも、走行ライン、ブレーキングポイント、コーナースピード共にすべて他の周と一緒なのに、いきなりフロントが切れ込んで、どうすることもできなかったよ。今後に向けて原因をしっかり追求しないとね。次戦ル・マンは僕の大好きなサーキットだし、その前に2日間ムジェロでテストがあるから、テストで走り込んで、ル・マンに向けてしっかり準備するよ」河内健 (テクニカルマネージャー)「今週末ふたりのライダーが共に安定してずっと速かったので、レースペースとしてはもっと良い内容を期待していたのですが、期待ほど良い内容ではありませんでした。そのあたりはよく調査して、研究していく必要があると思っています。非常に難しいレースで転倒もたくさんあり、アレックスもそのひとりとなってしまい、非常に残念でなりません。しかしアンドレアは最後まで頑張ってくれて、今シーズン3 度目となる表彰台をチームにもたらせてくれました。彼の頑張りに感謝します。運が味方してくれた表彰台ではありましたが、これもレースのひとつだと思うので、今日は素直にこの結果を喜びたいと思います」ダビデ・ブリビオ (チームマネージャー)「今日は運に味方されて獲得できた表彰台ではありましたが、我々チームにとっては、どんな状況であれ、3戦連続で表彰台を獲得できたことは素晴らしいことだと思っています。アンドレアは多重クラッシュのあと表彰台獲得の可能性を知り、最後までアグレッシブに攻めて自ら表彰台を獲りに行きましたし、彼の見せたその強さを誇りに思っています。チャンピオンシップのランキングも上がり、今後さらにチームのモチベーションも上がるでしょう。アレックスはフロントに問題を抱え、レース序盤に転倒・リタイヤという残念な結果となってしまいましたが、転倒まではトップグループでバトルできていましたし、彼とマシンのポテンシャルをきっちり見せることができたと思っています。今日のトラブルの原因をきっちりと調査し、次戦に向け、しっかり対策していきます。アレックスは今シーズン安定した好調なパフォーマンスを見せていますし、さらなる成長も続けているので、今後に期待しています」