MotoGP 第6戦イタリアGPは、終日、青空が広がる絶好のコンディションとなり、トップから1秒差以内に18台という大接戦になった。ムジェロは、一周、5.245kmのロングコース。アベレージが時速175km前後のハイスピードコースであり、フリー走行が大接戦となったことから、今季もっとも厳しい予選と決勝レースが予想される。
そのため、5戦を終えて3勝を挙げて総合首位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、タイヤテストに集中、FP1は前後にミディアムを装着してトップタイムをマーク。FP2では、フロントにハード、リアにソフトを装着。FP1同様、1セッションを同じタイヤで走行し総合6番手で初日を終えた。ほとんどの選手がセッション終盤にかけてニュータイヤを装着してアタックするという激しいアタック合戦。その中でタイヤテストに集中したマルケスの走りは際立っていた。土曜日の予選では今季4回目のポールポジション(PP)獲得と、5年ぶりの大会制覇が期待される。チームのホームグランプリを迎えたカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が8番手で初日を終えた。この日は、マルケス同様、タイヤテストに集中した。しかし、マルケスとは対照的に、前後ともにソフト、ミディアム、ハードの3種類すべてのタイヤで走行し、ベストのマッチングを探った。課題はフロントタイヤのフィーリングが完全ではないこと。土曜日のフリー走行と予選では、セットアップを進め、今季2回目のフロントローと初PPを狙う。チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)も、チームのホームグランプリで気合の入った走りをみせた。トップから1秒差に18台が名前を連ねたFP1では7番手とまずまずのスタートを切った。FP2もトップから1秒差に18人の選手が名前を連ねる厳しい戦いとなったが、このセッションでは思うようにタイムのパフォーマンスを引き出せず。加えて、セッション終盤のアタックもうまくいかず14番手へとポジションを落とした。しかし、過去2戦、ダイレクトで予選Q2に進出している中上だけに、土曜日のFP3でトップ10入りを果たし、予選では前戦フランスGPの7番グリッドを越えるベストリザルト獲得に挑む。イタリアGPで6度の優勝経験のあるホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、FP1で18番手、FP2では20番手と思うようなタイムをマークできなかったが、1分48秒台で連続周回するなど、土曜日のフリー走行と予選に向けて手応えある一日となった。ヨーロッパラウンドに入ってから調子を上げているロレンソだけに、予選の走りが期待される。マルク・マルケス(MotoGP 6番手)「今日はタイヤのテストだけに集中しました。昨日から体調がすぐれないのですが、マシンも今日は100%の状態ではありませんでした。今夜しっかり休んで、体調もマシンも100%の状態になることを願っています。このような状況でもトップとの差はそれほど広がっていません。明日も引き続き、プッシュし続けなければなりません。今日はまだ金曜日なので、セッションの最後に新品タイヤは使いませんでした。フィーリングはよかったです。安定したラップが刻めました」カル・クラッチロー(MotoGP 8番手)「正直、今日はそれほど悪い日ではありませんでした。マシンのフィーリングも悪くありませんでした。しかし、まだ改善しなければならないところがたくさんあります。それが明日の課題です。フロントの感触を改善しなければなりません。また、ストレートはもちろんのこと、全体のスピードアップにも取り組まなければなりません。ル・マンのときのように、あと0.2秒か0.3秒を削る必要があります。今日は8番手という結果に残念だという気持ちと、トップ10に入れてよかったと思う気持ちもあります。FP2ではいつもと違うライダーが上位に来て驚きました」中上貴晶(MotoGP 14番手)「FP1では7番手と順調なスタートを切ることができました。しかし、FP2では、決勝に向けて想定していた前後ハードコンパウンドが思うように機能せず、セッション終盤のアタックも、思うようにタイムを短縮することができず、14番手へとポジションを落としてしまいました。完全に作戦のミスでした。ここはストレートが長いので、ライバルのスリップ(ストリーム)を使おうと思いました。そのためコース上でほかの選手を待ってしまい、時間をロスしました。それが今日の反省点です。今大会、決勝に向けて想定していたのはハードタイヤでしたが、今日の感じでは前後ミディアムが決勝に向けてパッケージになると思います。明日のFP3では、あと0.5秒は短縮しないとトップ10には入れないと思うので、しっかりタイムを出したいです。ダイレクトでQ2を目指し、予選ではベストグリッドを目指します」ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 20番手)「20番手という結果は、もちろん、うれしくはないですし、いいポジションでもありません。今日はFP2の最後にほとんどの選手がソフトタイヤを使っていましたが、僕は明日のFP3のために温存することにし、今日はハードタイヤを使い続けました。僕のペースはみんなとはそれほど離れていません。新品タイヤを使えばトップ10に入れたかもしれませんが、1周のタイムをもっとよくしなければなりません。明日が楽しみです」