2017年シーズンの幕開けを告げる公式テストが、1月30日(月)〜2月1日(水)の3日間、マレーシアのセパン・サーキットで行われた。今季初のテストに参加したのは、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスとダニ・ペドロサ、LCR Hondaのカル・クラッチロー、Team EG 0,0 Marc VDSのジャック・ミラーとティト・ラバト。今季、ホンダ勢としてMotoGPクラスに参戦する5選手が参加した。
昨年は、2つの大きなルール変更があった。一つは、エンジンコントロールユニット(ECU)に全車共通のソフトウエアが採用されたこと。もう一つは、MotoGPクラスに供給されるタイヤが、ブリヂストンからミシュランへと変わったこと。そのため、昨年のウインターテストでは、チームはマシン作りに大きな影響を及ぼすこの2つの変更点を確認するため、多くのテストメニューをこなした。それからも手探りの一年を送り、ウインターテストからのデータの蓄積と、マシンの改良がホンダのタイトルの獲得につながった今年は、昨年の大きなルール変更を受けて2年目のシーズン。昨年のチャンピオンマシン「RC213V」をベースに、多くの改良を施した2017年型プロトタイプの検証からスタートした。テストに参加した5選手は、準備されたテストメニューを一つひとつこなし、着実に前進した。今年は3日間を通して曇りの日が多く、雨の影響もあったが、次回のオーストラリアでのテストに向けて、大きなステップを刻むテストとなった。13年に史上最年少で世界チャンピオンに輝き、14年にシーズン史上最多優勝記録で2連覇、さらに昨年、3回目のタイトルを獲得したマルク・マルケスは、若干スペックの異なるシャシーとエンジンのテストを、2台のマシンを用いて精力的に行った。1日目は56ラップ、2日目は雨の影響で路面が乾かず33ラップと少なめだったが、最終日には3日間を通じてだれよりも多い85ラップ(3日間合計で174ラップ)を刻み、テストメニューを消化した。一昨年は、シーズン最初のテストで1分58秒台という前人未踏のスーパーラップを叩き出したマルク・マルケスだが、今回のテストではロングランを実施するなど、テストパーツの検証とデータの蓄積に集中した。ベストタイムは1分59秒506で、3日間の総合では3番手だったが、大きな成果をアピールするテストとなった。チームメートのダニ・ペドロサは、3日間で合計155ラップを周回した。今回のテストは、マルク・マルケス同様、少しスペックの異なる車体とエンジンのテストに取り組んだ。ベストタイムは1分59秒578で総合5番手。マルケス同様、テスト走行に徹する3日間を過ごし、上々の内容で終了した。Repsol Honda Teamで12年目のシーズンを迎えるペドロサが、念願のタイトル獲得に挑む。LCR Hondaに移籍して3年目のシーズンを迎えるクラッチローも、2017年型プロトタイプのテストに取り組んだ。昨年はMotoGPでの初優勝を達成し、2勝目も挙げる大活躍。マルケスやペドロサとともに、優勝を争う一人となった。今季の初テストでは、3日間で合計159ラップ。3日間の総合タイムでは1分59秒728で9番手だったが、トップから1秒差に16台がひしめく大接戦の中で、まずまずのスタートとなった。昨年、初優勝を達成するなど3年目のシーズンに向けてモチベーションの高いミラーは、今年のさらなる活躍を予感させるスタートになった。ベストタイムではトップから1.071秒差の17番手だったが、ホンダ勢では最多となる177ラップを走行。安定したタイムで周回を重ね、ライダーとしての成長を感じさせた。一方、MotoGPクラスで2年目のシーズンを迎えるラバトは、2日目の走行で転倒。左足や右手などを負傷した関係で、最終日をキャンセルした。次回のテストは、2月15日(水)〜17日(金)の3日間、オーストラリアのフィリップアイランドで行われる。マルク・マルケス(総合3番手 1分59秒506)「今回のテストのポジションにはある程度満足しています。とにかく、リズムが大事だったし、できるだけ多くのメニューを消化するために、たくさん周回しました。いい仕事ができたと思います。予定していたメニューをすべて終えることはできませんでしたが、予定していたことはほぼやれたと思います。まだ完ぺきとは言えないし、快適とは言えないいくつかのポイントを改良しなければなりませんが、この3日間でどんどんよくなってきています。これは大事なことだし、うれしいことです。最終日は、電子制御とマシンのセットアップをもう一度確認するために、最後の1時間はタイムアタックを捨て、11ラップの軽いロングランをこなしました。いいペースを作るのは大事なことです。全体的には、この3日間の仕事に満足しています」ダニ・ペドロサ(総合5番手 1分59秒578)「最終日は天気に恵まれ、うまく一日をコントロールできたと思うし、たくさん周回できました。最終日はマレーシアらしい暑い日になり、シーズン最初のテストだったこともあり、少し疲れました。今回のテストは、いくつかの部分で前に進むことができたし、十分に手応えを感じられました。テストが始まったときは少し苦労したけれど、日ごとによくなったし、すぐに修正できました。現時点では100%とは言えないけれど、日を追うごとに格段に速くなれたので、最初のウインターテストとしてはいい流れだったと思います」カル・クラッチロー(総合9番手 1分59秒728)「最終日はマシンの調子がよく、少しスペックの異なるエンジンの評価を、引き続き実施しました。チームとしては、たくさんのことをこなせたと思います。いくつかの区間ではいい部分があったけれど、まだまだやらなくてはいけないことがたくさんあります。テスト中に発生した課題に対しては、すぐに対処できましたし、できなかった部分についても、すぐにチームからフィードバックしてくれると思っています。次のオーストラリアテストまでにHondaはがんばってくれるし、もっといいテストになると思います」ジャック・ミラー(総合17番手 2分0秒439)「今回の3日間のテストは、自分にとってとてもいい内容でした。フロントエンドのフィーリングについては、この2年間やってきたことをさらに前進できたように思います。ちょっとずつではあるけれど、自分は速くなっていると思います。ロングランはあまりうまくいかなかったのですが、終盤は、ソフトタイヤに戻してタイムを改善できました。新しいシャシーでテストしましたが、マシンとの相性を確認できたことに満足しています。フィリップアイランドでは、もっと速く走れるはずなので、今から楽しみにしています」
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