2年ぶりの開催となったイギリスGPのフリー走行は、終日、厚い雲が空を覆う天候となり、FP1は13℃、FP2も17℃という肌寒い一日となった。しかし、レッドブル・リンクで開催された2連戦に続き、このシルバーストーン・サーキットでも人数制限なしで観客を入れての大会となり、サーキットには活気が満ちあふれた。怪我から復帰10戦目となるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、FP1のセッション終盤に転倒を喫するが、今季2度目のトップタイムをマークする好調なスタートを切った。
FP2では、FP1の転倒で目に異物が入って見えにくくなるなどの影響で5番手へとポジションを落としたが、着実に体調が戻っていることを感じさせる一日となった。FP1では「マゴッツ&ベケッツ」セクションで、時速270kmで転倒した。幸いなことにケガはなかったが、この転倒でセッションは赤旗中断となった。シルバーストーンは、2019年にマルク・マルケスが1分58秒168のサーキットベストタイムをマークし、レース中のベストラップ1分59秒936も記録している。今大会の目標は、2年前にマークした自身のタイムになる。チームメートのポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)がFP1で4番手、FP2でも4番手につけて総合4番手。初日としては今季ベストポジションで終えた。FP1はフロントにソフト、リアにミディアム、FP2は前後ミディアムでスタートし、セッション終盤に前後ソフトで2分00秒035をマークした。2年前の大会に較べて全体的にタイムは出ていないが、ポル・エスパルガロはRC213Vで初めて走るシルバーストーンで、順調にタイムを刻んだ。2年ぶりのシルバーストーンを楽しみにしていた中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、リアのグリップ不足に苦しんで15番手だった。FP1は6番手と好調なスタートを切ったが、午後のFP2はセッションを通じてリアのグリップをうまく引き出すことができなかった。Moto2時代はシルバーストーンで優勝を含む3度の表彰台に立っている。2年前の大会も転倒はあったが、上位グループで好走を見せた。2日目のFP3ではダイレクトでのQ2進出を目指す。昨年は大会がキャンセルされたため、RC213Vでのシルバーストーン初走行となったアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、FP1で10番手とまずまずのスタートを切ったが、FP2では思うようにタイムを短縮できず20番手に後退した。この日は、FP1、FP2ともに転倒を喫したことも、タイム短縮を果たせない要因だった。この日の問題をしっかりと確認し、2日目のFP3、そして予選に挑む。ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「今日はいい一日でしたがベストではありませんでした。すべてが上手く進みました。とても寒かったのでミディアムタイヤではあまりプッシュできませんでしたが、ソフトタイヤでいい方向性を見つけることができました。今日はマシンとコース、気温、そしてすべてのフィーリングがよく、スムーズでした。何も不満がありません。すべてがうまく行っていますが、明日のFP3では、日曜日へ向けて前進できるように引き続きがんばらなければなりません。まだ喜んでいる場合ではありません。今は仕事に取り組むときです」マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「今日は最初からとてもいいフィーリングがありました。思ったように走ることができました。残念ながらFP1の終盤に大きな転倒をしてしまいました。目に土が入ったために、FP2は少し涙が出て、うまく集中できずベストなパフォーマンスができませんでした。そのような状況でもいい走りだったと思います。しかし、FP2が終わると目の状態が悪くなりました。見え方は大丈夫でしたが、病院へ行ってきちんと洗浄してもらいました。これから少し休み、目を閉じて明日に備えたいと思います。目標はこのレベルを日曜日までキープすることです」中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「FP1の気温は14℃と低かったのですが、全体的にコンディションはよく、快調にラップを刻み、6番手でセッションを終えることができました。しかし、午後のFP2では45分間を通してリアのグリップ不足に苦しみ、最後までいいラップタイムを出すことができず、15番手までポジションを落としました。しかし、明日に向けてやるべきことがたくさんあり、いくつかの分野では、今日の課題を解消するためにも改善する必要があります。データをチェックして、明日に向けてマシンのフィーリングを向上させたいと思います」アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)「今日は転倒があって少し複雑でした。午前中も午後も転倒してしまい、ポテンシャルを上手く発揮できませんでした。特に午前中のポテンシャルはかなり高かったので残念です。それを除けばポジティブに捉えたいです。今日はいいことがたくさんあったので、明日へ向けてポジティブになれます。トップのライダーたちと離れていることは確かですが、このサーキットでは違いがいつも大きく表れます。引き続きこの調子で取り組み、前進したいです。今日のことは忘れて、明日は一歩前進できることを願っています」