MotoGP後半戦のスタートとなった第10戦スティリアGPは、不安定な天候の中で決勝レースが行われ、Moto3クラスは「ウエット」。Moto2クラスとMotoGPクラスは「ドライ」が宣言されてスタートが切られた。午後2時にスタートしたMotoGPクラスの決勝は、スタートから3周目の3コーナーでダニ・ペドロサ(KTM)が転倒、ロレンツォ・サバドーリ(アプリリア)が転倒しているマシンに接触し、2台ともにマシンが炎上するというハプニングで赤旗中断。コース上の処理をした後、28周のレースは27周に短縮され、35分遅れで再スタートが切られた。
大荒れの幕開けとなったが、再開されたレースでは、予選10番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が5位でフィニッシュした。オープニングラップで9番手へとひとつポジションを上げた中上は、2周目に7番手、7周目に6番手へと着実にポジションを上げた。その後、ジャック・ミラー(ドゥカティ)が転倒したことで5番手へ。レース終盤にはヨハン・ザルコ(ドゥカティ)、ブラッド・ビンダー(KTM)とし烈な4位争いを繰り広げ、5位でフィニッシュした。コロナ禍の中で短期決戦となった昨シーズンは、2連戦、3連戦が多く、中上はハードな日程の中で素晴らしい走りを見せた。今大会は今季ベストタイの4位と、初表彰台獲得を逃したが、2週連続の開催となる第11戦オーストリアGPに向けて大きな手応えを感じ取るレースになった。予選8番手から決勝に挑んだマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、決勝も8位だった。ウエットコンディションで行われたウォームアップではトップタイムをマーク。ドライコンディションになった決勝も3列目から好スタートを切るが、3周目に赤旗中断。再開されたレースでは、オープニングラップの混戦の中で10番手へとポジションを落とす。その後も、リアタイヤが思うようにグリップせず13番手へと後退したが、後半、8位までポジションを上げてチェッカーを受けた。予選11番手から決勝に挑んだアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は9位だった。赤旗中断後のレースでは、スタートを決めてオープニングラップに7番手に浮上。そして、中上とバトルを繰り広げたが、後半は思うようにペースが上がらずじりじりと後退した。その後、ペースをあげてきた兄のマルク・マルケスに抜かれるが、兄のマルクを追撃し、9位でフィニッシュした。今季のベストリザルトはフランスGPの6位だが、ドライコンディションでは第3戦ポルトガルGPの8位に続くレースとなった。予選15番手から決勝に挑んだポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、ウエットコンディションとなったウォームアップで12番手、ドライコンディションになった決勝レースも16位と苦戦の一日となった。今大会は予選で思うような走りが出来ず15番グリッドからの追い上げに挑んだが、ペースが上がらず厳しい戦いを強いられた。さらに、13番手を走行していたレース後半、トラックリミットの違反でロングラップペナルティを課せられ17位へとポジションを落とす。その後、追い上げたが16位になるのがやっとだった。連戦となる第11戦オーストリアGPでは、今大会の雪辱に挑む。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「最終コーナーまで4位争いをしていたので、5位という結果にはとても満足しています。終盤ザルコを抜いたのですが、ビンダーに抜かれてしまいました。しかし、今日はペースも良く、レース中は良いバトルができました。10番グリッドからスタートして5位でフィニッシュできたことも、とても良かったです。昨日よりもマシンを改善することができました。フィーリングには満足しています。次のオーストリアGPに向けて、インターバルの数日を使って、今回のレースをしっかり検証し、次戦では上位を狙っていけるようにしたいです」マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「今週末の仕事には満足しています。ペースはよかったですし、いい走りができました。でもレースの内容には満足していません。最初のレースではとてもいいフィーリングがあり、「自分のレース」だと感じました。次のレースではタイヤを変えましたが、アウトラップからなにかがおかしいと感じました。スピンがひどく、グリップがまったくありませんでした。タイヤを少し冷まして、再びプッシュしようとしましたが、プラクティスのときよりも1秒遅いペースでした。とにかく完走しようと思い、本当のパフォーマンスは来週のレースで見せようと思いました。最初のレースで、アレイシをパスしたときに接触したのは僕のミスです。次のレースではいいスタートを切ることができました。僕は彼の前にいたのですが、彼がブレーキを離し、コーナーに入ってきたので、僕はスペースがなくなり、接触してタイムを落してしまいました。これもレース。こうしたことは起きるものです」アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)「今日はいい日になりました。シーズン前半はとても難しいレースが続いていたのでうれしいです。100%の力を出して戦いました。正直、ミスがたくさんあり9位がやっとでした。もっと前進しなければなりませんが、今大会のチームの仕事にはとても満足しています。次のレースまで数日あります。今回のパフォーマンスには満足しています。まだ改善しなければならないことがありますが、正しい方向へ進んでいると思います」ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「厳しいレースでした。これほど最後尾に近いのは、正直、少し恥ずかしいことです。すべては予選から始まっていました。それほど強さがなかったし、決勝ではリアにミディアムを選択したのですが、赤旗で再スタートになったときはもうリアタイヤが残っていませんでした。すでに4周走ったリアタイヤでグリッドに並びました。一度熱くなったタイヤが冷えたことで、タイヤのパフォーマンスを引き出すことはできませんでした。ウォーマーを掛け、走行して温度を上げても、ストレートでかなりスピンがあり、4速では加速しませんでした。ポジティブなことは何もなかったと思います。とにかくサバイバルレースでした。赤旗中断がなければ、もっと面白いレースができたと思います」
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