2021年 MotoGPシーズン後半戦のスタートとなる第10戦スティリアGPが、8月6日(金)から8日(日)の3日間、オーストリアのレッドブル・リンクで開催される。昨年に続き、今年も新型コロナウイルスの感染拡大の影響でカレンダーが大幅に変更となり、今年5月に中止が決まったフィンランドGPの代替として、スティリアGPの開催が決まった。レッドブル・リンクでは、8月13日(金)から15日(日)までの3日間、オーストリアGPの開催が決まっており、レッドブル・リンクでは2年連続となる、2週連続開催となった。
レッドブル・リンクは1969年に完成したサーキットで、当初はエステルライヒリンクという名称だったが、97年にA1リンクとなり、2010年からはレッドブル・リンクへと改称された。オーストリアで開催されるグランプリとしては、これが31回目。レッドブル・リンクという名称になってからは6年連続7回目となる。スティリアとは、レッドブル・リンクが位置する地方全体の呼び方で、スティリアGPとしてはこれが2回目の開催となる。また、スティリアGP、そしてオーストリアGPと続く2連戦は、2019年シーズン終了以降、初めて満員の観客を迎えて行われる。世界的なパンデミックからの復興に向けて一歩を踏み出す重要な大会となる。レッドブル・リンクは、ウイーンから南西約200kmのシュピールベルクにあり、オーストリアのほぼ中央に位置する。一周4.318kmのコースは、アップダウンに富んだハイスピードコースで、コーナー数は10(右7/左3)とシンプルなレイアウト。現在のサーキットベストタイムは2019年のオーストリアGPでマルク・マルケス(Repsol Honda Team)がマークした1分23秒027(187.2km/h)でシーズンを通して最速サーキットとなっている。以下、フィリップアイランド(オーストラリア)とチャーン・インターナショナル・サーキット(タイ)が182km/h台、シルバーストン・サーキット(イギリス)とムジェロ・サーキット(イタリア)が179km/h台と続く。過去、Honda勢は、A1リンク時代のオーストリアGPで、1996年と97年に2年連続で、125cc、250cc、500ccの3クラスを制している。最高峰クラスでは96年にアレックス・クリビーレ(99年のチャンピオン)、97年にミック・ドゥーハン(94年から98年までの5年連続チャンピオン)とMotoGPレジェンドに名前を連ねる両選手が優勝した。シーズン前半を終えて総合10位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、第3戦ポルトガルGPで復帰してから8戦目を迎える。マルケスは、昨年7月のスペインGPで右腕上腕を骨折し、今年の4月までの9カ月間、レースから遠ざかっていた。復帰してからのマルケスは、右腕の状態が完全ではなく、厳しい戦いを強いられているが、6月の第8戦ドイツGPでは、復帰6戦目にして復帰後初優勝を達成した。その後も、ドライコンディションでは依然として100%のパフォーマンスを発揮できていないが、日を追うごとに右腕の状態は回復。1カ月間の夏休み期間中にマルケスは、昨年ケガをしてから初めてモトクロスのトレーニングを再開し、力強さが増していることを確認した。これまでマルケスは、レッドブル・リンクですばらしい優勝争いを何度も繰り広げてきた。アンドレア・ドヴィツィオーゾとは17年と19年、ホルヘ・ロレンソとは18年に最終ラップまでし烈な戦いを繰り広げファンを喜ばせたが、まだ優勝のないサーキットの一つ。昨年はケガのためにレッドブル・リンクの2戦を欠場しており、2年ぶりとなるレッドブル・リンクでの戦いに注目となる。今季、Repsol Honda Teamに加入したポル・エスパルガロは、シーズン後半戦を楽しみにしている。シーズン前半を終えて、開幕戦カタールGP、第5戦フランスGPの8位が最高位で総合12位とフラストレーションを溜めるレースが続いている。その要因の一つは、コロナ禍の中で思うようにテストができない厳しいシーズンとなっているためだが、レースをこなす毎に着実にデータを蓄積し、本来の速さを発揮している。予選のパフォーマンスでいいグリッドを得ることがリザルト向上の大きな鍵を握っている。過去2戦は予選でのパフォーマンスが向上しており、後半戦の活躍に注目される。エスパルガロは、昨年のスティリアGPで3位になっており、2年連続スティリアGPでの表彰台とRepsol Honda Teamで初の表彰台獲得が期待される。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、得意とするサーキットでシーズン後半戦を迎える。昨年、レッドブル・リンクの2連戦では、オーストリアGPではトップから6.4秒差の6位、スティリアGPでは1.8秒差の7位でフィニッシュしている。2戦目となったスティリアGPでは、赤旗中断がなければ初表彰台、初優勝の可能性もあった。しかし、再スタートとなったレースでは新品タイヤのバックアップがなく、大接戦の中で7位に終わるという悔しいレースとなった。昨シーズン、中上は2週連続開催のサーキットではすばらしい走りをみせた。シーズン前半を終えて中上は、スペインGPの4位を最高位に、マルケスに続く総合11位。初表彰台獲得を目標に挑むスティリアGP、そしてオーストリアGPの2連戦に大きな期待が寄せられる。チームメートのアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、シーズン前半を終えて総合15位。前半を終えて、ポルトガルGPの8位、フランスGPの6位とシングルフィニッシュがわずか2回と苦戦している。最大の課題は新品タイヤのパフォーマンスをうまく発揮できず、いいグリッドを得られないこと。レースタイヤのペースがいいだけに、後半戦の最初の課題は、予選でいかにベストを尽くすかにかかっている。Moto2時代は、17年と19年に2位を獲得している。昨シーズン、ルーキーながら2度の表彰台を獲得しているアレックス・マルケスが、今季初の表彰台獲得、初優勝に挑む。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「夏休みを友人や家族とリラックスして過ごすことができました。気持ちを休めるだけではなく、身体もさらに回復し、よい休暇となりました。気分はとてもいいです。トレーニングを増やし、バイクに乗る時間も増やすことができ、モトクロストレーニングも再開することができました。とても楽しいです。しかし、コース上の状況はそれほど簡単ではないことは分かっています。仕事を続け、集中力をキープしなければなりません。再びHonda RC213Vに乗るのが楽しみです。また、グランドスタンドが観客でいっぱいになるのはすばらしいことです」ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「サーキットから長いこと離れていました。自分のHondaマシンに再び乗れることを楽しみにしています。夏休み中は一生懸命トレーニングをしてきました。シーズン後半に向...
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