2021年のMotoGP 第4戦スペインGPのフリー走行は、今大会も厳しい戦いとなり、トップタイムをマークしたフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)から1秒差に14台という接戦になり、中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が6番手、ワイルドカードで出場のステファン・ブラドル(Honda HRC)が11番手、ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)が14番手につけた。以下、復帰2戦目となるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が16番手、アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が20番手で初日を終えた。
Honda勢トップにつけた中上貴晶は、FP1で11番手につけると、FP2で一気にタイムを上げて6番手へと浮上した。前戦ポルトガルGPでは、フリー走行の転倒の影響で最後尾21番グリッドからのスタートだったが、10位でフィニッシュ。上り調子をアピールする戦いとなった。今大会初日のフリー走行は、その好調さを確認する一日となり、土曜日のFP3では、ダイレクトでのQ2進出に挑む。中上貴晶は、ポルトガルGPの転倒で右鎖骨と胸骨の付け根部分を痛めたが、1週間のインターバルでかなり回復。依然として完全な状態ではないが、得意のヘレスで本来の走りを取り戻すことに成功し、明るい表情だった。RC213Vのマシン開発を担当するブラドルは今大会にワイルドカードで出場し、初日11番手につけた。ブラドルは、昨年、ケガで欠場したマルク・マルケスの代役として12戦に出場。最高位は7位と、マシン開発とともに、Repsol Honda Teamへ大きな貢献を果たした。今年も引き続き、カタールで開催された開幕の2連戦に代役で出場し、14位/11位という結果を残した。今季3度目の出場となるが、ヘレスで実施したウインターテストとの比較が、今大会の大きな目標となる。Repsol Honda Teamに移籍して4戦目を迎えるポル・エスパルガロは、14番手で初日を終えた。FP1ではトップから0.420秒差の8番手だったが、FP2ではライバル勢がタイムを短縮していく中で思うようにタイムを短縮できず、14番手へとポジションを落とした。開幕戦から課題となっている新品タイヤのパフォーマンスをまだ十分に活かすことができていない。加えて、RC213Vで初めて走るサーキットが続いているが、土曜日のFP3ではダイレクトでのQ2進出を目指し、予選では今季ベストを狙う。昨年7月のスペインGPで右腕上腕を骨折し、前戦ポルトガルGPで約9か月、15戦ぶりに復帰を果たしたマルク・マルケスは、初日16番手だった。復帰2戦目を迎えたマルケスは、「今大会はかなり平常心に戻った」とコメントし、FP1では3番手につける好調なスタートとなった。FP2でもほぼ同じタイムで連続周回を重ねたことで、ポジションは16番手となった。今大会のマルク・マルケスの目標は、レースウイークを通じてパフォーマンスをキープすること。前戦ポルトガルGPでは、決勝で右腕の力が大幅に落ちて完走するのがやっとだった。今大会は、腕の状態を確認しながら、決勝で最大限の力を発揮できるようにすることが目標となる。この日のベストタイムは16番手だったが、1分38秒台で連続ラップを刻んだ走りは、上位陣と遜色のないものだった。アレックス・マルケスも、ベストタイムでは20番手だったが、1分38秒台で連続周回するなど、内容は悪くない。昨年、今年とアレックスの抱えている課題は、ニュータイヤを入れたときのパフォーマンスで、今年もフリー走行、予選でのアタックラップの改善に挑む。土曜日のFP3ではダイレクトでのQ2進出を目指し、決勝では昨年の8位以上を目指す。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「今日はいい日になりました。そして、いいスタートを切ることができました。6番手というポジションは全体的にはいい結果です。マシンのフィーリングには満足しています。両セッションともに安定して走ることができました。とてもポジティブでした。明日のFP3では、あとコンマ数秒詰めなければなりません。トップ10をキープできるように、1分36秒台、さらにそれより速いタイムを出せることを願っています。これが明日のFP3での最優先課題です」ステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)「今日は順調にいきました。うれしいです。特にFP2はよかったです。路面コンディションはよく、ほかのライダーたちと比較することができました。セットアップにも取り組むことができました。いつものようにタイムは非常に接近しています。そのためいい戦略を立て、タイムアタックへ向けてセッティングを進めなければなりません。ロングランではいい走りができましたが、明日の予選でいいタイムを出すことに集中したいです」ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「今日は新品タイヤのパフォーマンスを活かすことができませんでした。そのため、思っていたよりポジションを下げてしまいました。でも、マシンの限界と、どこでプッシュできるのかを知るために、かなり有意義な一日でした。すでにポルティマオのときよりもフィーリングはよくなっています。土曜日には興味深い結果を達成できると思います。目標はQ2へ進むことですが、レースペースも悪くありません。慣れ親しんだサーキットで、安定したコンディションで走れるのはうれしいです」マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「レースウイークへのアプローチは、ポルティマオのときとは少し違います。目標はレースウイークを通して、体のコンディションを安定させてキープすることなので、今日はあまりプッシュしませんでした。明日はプッシュします。全体的にマシンのフィーリングはとてもよく、今の状況に満足しています。まだ身体的に取り組まなければならないことがあります。ポジションも完ぺきではありませんが、必要なときにプッシュすることはできています。すべてに取り組み、一歩一歩前進したいと思います」アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)「今日はあまりいい一日ではありませんでした。いいフィーリングがつかめず、プッシュできませんでした。明日は改善しなければならないことがたくさんあります。今日は2台のマシンを違うセッティングにして走りました。それで少し混乱したのかもしれません。明日は何をするのか、もっとクリアにしなければなりません。でも、最初に自分のライディングスタイルを改善しなければなりません。明日の午前中から改善して、トップにもっと近付けるようにがんばります。明日は大きく前進して、いい予選にしたいです」