スティリアGP決勝はミル4位、リンス6位もレースディレクションの判断が物議を醸す3連戦の最後のレースとなったスティリアGP決勝は、紆余曲折の末チームスズキエクスターにとっては悔しさの残る週末となった。ウィークを通して安定した速さとコンスタントなペースで走行を重ねてきたジョアン・ミルは、朝のウォームアップを2番手で終え好調ぶりをさらに確信。前週のMotoGPクラス初表彰台獲得で自信を得たミルは、2週連続表彰台を目指す如く決勝に向けてさらなる闘志を燃やす。
ミルはスタートでホールショットを決め、その後オーバーテイクを許して一旦2番手に順位を落とすも、再びトップに立ちレースをリード。その後も安定のペースでトップを独走し、セカンドグループに2.5秒の差をつけるが、17周目にアクシデントによりレースが赤旗中断となる。レース1が中断された時点での順位がグリッドポジションとなる再スタートのレース2でも、ミルはポールポジションからスタートして再びホールショットを決める。しかし再スタート後のレース2ではリアタイヤは新品だがフロントタイヤは中古での走行となり、厳しい戦いを強いられ3周目には3番手までポジションダウン。ミルはその後も諦めることなくトップグループに喰らいつき、レース2を4位で終えて13ポイントを獲得した。アレックス・リンスも赤旗中断前のレース1ではミル同様好調な滑り出しを切って5番手に。しかし前を走るポル・エスパルガロ(KTM)のオーバーテイクに手こずり、数周をポルの後ろで粘り強く走行。ペースが上がり始めたところでレースが中断され再スタートとなるが、レース2ではスタートのミスにより8番手までポジションを落とす。右肩の痛みと数度のミスで忍耐を強いられるが、その後は6位まで順位を上げてチェッカー。チャンピオンシップポイントに貴重な10ポイントを追加した。河内 健 テクニカルマネージャー「先週に続き今週も私達は良いパフォーマンスが出せていたのですが、特にレース2で運がありませんでした。とはいえふたりのライダーがトップ6でいずれもゴールできたというのは悪い結果ではありませんし、彼らの素晴らしいパフォーマンスに感謝の気持ちを伝えたいです。次のミサノでまたダブル表彰台に再チャレンジしたいと思います。応援ありがとうございました。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「決勝での走りだけで判断するのなら、今日はふたりとも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれましたし、我々の強さを証明してくれたことを喜ぶべきでしょう。アレックスはレース1では安定した走りでトップグループを追い上げていたのですが、レース2ではスタートのミスでポジションを落としてしまったせいで残念ながら厳しい展開を強いられることになってしまいました。ジョアンに関しては赤旗中断までのレースでは後ろを引き離しながら単独でトップを走行というシチュエーションにありながら、再スタートしたレースではレースディレクションの判断が我々の理解とは相違し、4位という結果に終わってしまいました。最終ラップにトラックリミットからはみ出したライダーは、ゴール後のポジションをひとつ下げるとルールブックにはっきりと記されているにも関わらず、ポルにペナルティーが課されなかったことは理解し難いですし、ましてその行為によってポジションを上げた場合はもっての外だと思います。ポルが緑色にペイントされたランオフエリアを走行しなければ、そこでブレーキングが必要となり、そうなればミルも彼をオーバーテイクして3位になれたのではないかというのが我々チームの見解なので、レースディレクションの今回の判断にはとてもがっかりしています。ジョアン自身、レース1で同様の行為によってペナルティーを課せられ、走行中にポジションをひとつ下げているのに、レース2でポルに同様のペナルティーが課せられなかったことはどう考えても理解できません。オーストリアは今シーズン3つ目のサーキットとなったわけですが、ここでの2戦で我々はさらに大きく進化できたと思っています。今回のレース結果には不満が残りますが、我々のこの強さを武器に今後もしっかりと進化を続け、さらに強くなって次戦に臨みます。」ジョアン・ミル「今日は本当に運が悪かったとしか言いようがなくて悔しい気持ちでいっぱいだけど、ポジティブなことは、今日の自分には優勝争いができる速さがあったことを証明できたことだよ。最終コーナーでポルが大きくコースアウトして、そのままアクセル全開でゴールした行為に関しては自分にはよく見えていなかったけど、あれはレースディレクションにペナルティーを課せられるものだと思っていた。数々のアクションがかなり厳しく取り締まられているのに、あの行為がペナルティー対象にならないのはなんだか不公平な感じがするよ。今週末は良い流れで全てが順調に進んでいたし、赤旗中断前のレースでは優勝の手応えも確実に感じていた。でも再スタート後は中古タイヤだったから、最初のレースのように他のライダー達を抑えることは不可能だったんだ。全力を出し切って、初優勝が目の前に見えていたのに最終的に4位という結果で終わってしまったことは悔やんでも悔やみきれないけど、気持ちを切り替えてまた次のサンマリノGPで頑張ることにするよ。」アレックス・リンス「赤旗中断までのレースではポルをなかなかオーバーテイクできずにかなり手こずったけど、なんとかトップグループに追いつこうと頑張っていた最中だった。レース2ではスタートの時にクラッチを早く離し過ぎたためにリアタイヤがスピンしてウィーリーしてしまうという大失敗を犯してしまい、かなりポジションを落としてしまったせいでトップに追いつくことが難しくなってしまった。マシンのフィーリングはかなり良かったからもっと上位を狙いたかったけど、なんとか6位まで順位を上げることができて良かったよ。相変わらず右肩の痛みはまだ残っているけど、次のレースまで2週間休みがあるからしっかり体を休めて、ミサノではもっと良い状態で走れるようになっていると思う。次のレースが今から楽しみだよ。」
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