オーストリアGPでジョアン・ミルがMotoGPキャリア初表彰台を獲得雨予報を覆し、晴天のもとスタートを切ったオーストリアGPは、レース序盤に2台のマシンが接触転倒し、転倒したマシンが宙を舞いながらコース上を横切る大波乱が起き赤旗中断に。しかしその後コースの安全が確認された後に再スタートしたレースでジョアン・ミルが大健闘の2位を獲得。自身のMotoGPキャリア初表彰台であり、またチームスズキエクスターにとっても今季初の表彰台となった。
朝のウォームアップではミルがトップタイムをマーク。一方のアレックス・リンスは肩の怪我の温存のためセッション終盤になってピットアウトするが、ふたりのライダーは共に好感触で決勝に向けての士気を高める。スターティンググリッド2列目、3列目からそれぞれスタートを決めたミル、リンスは1コーナーに5番手、6番手で揃って飛び込む。その後ミルはすぐに4番手、そして3番手へと確実にポジションを上げ、アクシデントでレースが赤旗中断となるまで4番手をキープ。大アクシデントにも関わらず幸い負傷者はなく、周回数20周でレースが再スタート。チームスズキエクスターライダーのふたりは再びロケットスタートを決め、揃ってトップグループにつける。リンスはファステストラップをマークしながらじりじりとトップとの差を詰め3番手にポジションを上げ、そのすぐ後方にはミルがぴったりとマーク。11周目、リンスがミラー(ドゥカティ)をオーバーテイクして2番手に浮上し、さらにトップを走行するドビツィオーゾ(ドゥカティ)に並びかけた瞬間スリップダウン。スペインGPで負傷した右肩への影響はなかったもののマシンは再スタートを切ることができず、痛恨のリタイヤを強いられた。一方のミルはレース終盤までペースを落とすことなくトップグループに食らいつき、最終ラップ最終コーナーでオーバーテイクを仕掛けて2位でチェッカーを受け、MotoGPクラス初表彰台を獲得した。河内 健 テクニカルマネージャー「またしても半分ハッピー、半分アンハッピーという結果となってしまいましたが、今週末は決勝も含め、我々は非常にコンペティティブであったと思います。アレックスに関しては優勝のチャンスがありながらも転倒という結果に終わってしまい非常に残念でしたが、今日は代わりにジョアンが素晴らしい仕事をしてくれ、最後まで諦めずにしっかりと2位をもぎ取ってくれました。幸いにも来週再びこのサーキットでレースがあるので、次はふたりのライダーのダブル表彰台を狙っていきます。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「このサーキットでは苦戦を強いられると覚悟していたのですが、マシンもライダーも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。表彰台のチャンスがありながらもなかなか実現に至らなかったジョアンの初表彰台獲得は本当に喜ばしいことですし、アレックスも転倒がなければ間違いなく表彰台を獲得できていたでしょう。アレックスの結果は悔やまれますが、これがレースなので仕方ないと思っています。幸い怪我もないので、気持ちを切り替え、また来週末に期待したいと思います。」ジョアン・ミル「素晴らしい日になったよ。表彰台に上がるチャンスはこれまでにも何度かあったのに、いつも何らかの理由に遮られて結果に繋げることができなかったから今日は最高の気分さ。レッドブルリンクはMoto3で初優勝をしたサーキットだから自分にとって良い思い出のある場所でもあるし、今日の2位は優勝に等しいくらいに嬉しいよ。素晴らしい仕事で僕を支えてくれたチームの皆と、パドックの入場規制によって自宅待機を強いられている全ての仲間達に心からお礼を言いたいね。ここに来るまで順風満帆とは言い難かっただけに、こうやって結果を出せたのは間違いなく僕を支えてくれた全ての人のお陰だね。」アレックス・リンス「最初のレースではスタートは良かったんだけど、ブレーキングがうまくいかない感じがあってペースを上げることができなかった。それでペースアップに格闘しながら走っている最中に目の前で大クラッシュが起きたんだ。本当に恐ろしい光景だったよ。とにかく大事に至らなくてよかった。赤旗中断後に再スタートしたレースではマシンのフィーリングもリアタイヤの感触もかなり良くて、無理せずトップグループを走ることができたんだ。ドビツィオーゾに追いついた時も余裕があったから、一番自信があった6コーナーでオーバーテイクしたんだけど、急にフロントが切れ込んで転倒してしまった。本当に悔しい転倒としか言いようがないね。でもチャンピオンシップはかなり接近戦になっているし、今日はフィーリングも良かったから、気持ちを切り替えて来週のレースでまた全力を尽くすことにするよ。」