F1メキシコGPとアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスにまつわる知られざるトリビアを紹介する。F1世界選手権2022シーズン第20戦はチェコ(セルジオ・ペレス)の母国で開催される。アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは長く豊かな歴史を備えているが、今回はメキシコシティGPの舞台となるこのサーキットにまつわる知られざるトリビアを5つ紹介する。
1.メキシコGP創設にまつわる逸話メキシコGPは長い歴史を備えているが、その始まりは少し異例だった。メキシコのモータースポーツを象徴するスター、リカルド&ペドロ・ロドリゲス兄弟の父は、一説には1950年代後半に当時のメキシコ大統領の側近として働いていたと言われている。ロドリゲス兄弟が「メキシコでのGP開催は良案かもしれない」と父にほのめかし、父が大統領に進言した結果、メキシコGP開催が実現した。2.海抜の高さがマシンパフォーマンスに影響アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは海抜2,200mに位置しており、そのためシーズン中最も気圧が低い環境になる。海抜ゼロ地点での周囲気圧は1,013mb前後だが、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでの気圧は780mb前後となる。これは空気中の酸素濃度が約22%低下することを意味し、F1マシンにも影響を与える。低い気圧から最も大きな影響を受けるのはパワーユニットだ。自然吸気エンジン時代は20%前後の大幅なパワー低下を被っていた。このパワー損失はターボエンジンなら補えるが、ターボが通常のコンディションよりも酷使されることになるためエンジン温度が上昇する。また、薄い空気はブレーキやパワーユニットの温度がより高くなると同時に冷却も難しくなることを意味し、マシンの温度管理のためにボディワークの変更が求められる。3.マックスがメキシコGP歴代最多勝ドライバーになる可能性メキシコGPで過去3勝を飾っているマックスは、メキシコGPの通算優勝回数でジム・クラークと並ぶ歴代1位タイにつけている。そのため、今シーズンにマックスが優勝すれば新記録が生まれることになる。メキシコGP優勝を複数回記録しているドライバーは、他にアラン・プロスト、ナイジェル・マンセル、ルイス・ハミルトンしかいない。4.チェコの友人とスポンサーがメキシコGP復活に尽力メキシコGPは1993シーズンから2014シーズンにかけて開催されていなかったが、カルロス・スリム・ドミット(カルロス・スリムの長男)がメキシコGP復活計画を発表した。しかし、メキシコでのF1再開催を実現するためにはアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスの大規模改修プロジェクトが必要となった。そして、このプロジェクトにはインフラ面と併せてサーキット自体の改修も含まれていたため、ヘルマン・ティルケが招聘されてターン1からターン3にかけて新たなコーナーレイアウトが設けられた。サーキットの残りの部分も改修やレイアウト変更を受けたが、コースの原型は維持された。サーキットは全面的に再舗装され、一新されたピット&パドック設備と併せて新たなスタンドも設置された。改修工事は他カテゴリーのレース開催を続けながら段階的に実施され、2015年8月に施設全体が落成。同年11月にメキシコGPを迎え入れる準備が整った。5.チェコはメキシコGPで歴代最も成功したメキシコ人ドライバー2021シーズン、チェコはオラクル・レッドブル・レーシング移籍後初のメキシコGPを戦い、母国GPでのリードラップと表彰台フィニッシュを記録したF1史上初のメキシコ人ドライバーとなり歴史に名を刻んだ。
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