ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍が決まった際、メルセデス内部では後任候補をめぐり、フェルナンド・アロンソを望む声が圧倒的だったという。現在はキミ・アントネッリが開幕から歴史的な活躍を見せ、メルセデスの選択は成功した形になっている。しかし、当時のファクトリー内では経験豊富なアロンソを求める空気が強かったことを、元メルセデスのエンジニアであるホセマ・ガランが明かした。
ハミルトン移籍後の全体会議で起きた“挙手”ガランはポッドキャスト『Minimo Comun Multipla』で、ハミルトンがフェラーリ移籍を告げた直後に開かれたメルセデスの全体会議を振り返った。「ひとつ話をしよう。ハミルトンが『フェラーリに行く』と言った日だ。すでにいろいろな街でX上に噂が流れていた。そして突然、全体会議が開かれて、全員がそこにいた」「そこにトトが来た。彼は本当にショーマンだ。何が起きたのか、どう知らされたのかを説明した。でもその後で、『今、我々は後任について考えている』と言った」トト・ヴォルフはキミ・アントネッリを高く評価しつつ、契約のないドライバーのリストを示し、社員に意見を求めたという。「セルジオ・ペレス。誰も手を挙げなかった。キミ・アントネッリでも何も起きなかった。沈黙と居心地の悪さがあった」「カルロス・サインツになると、少し手が挙がった。部屋の5%くらいだったと思う。とても控えめな挙手だった」最後に出たアロンソの名前で空気が一変最も大きな反応を引き出したのは、最後に名前が出たフェルナンド・アロンソだった。「そして最後に取っておいた。最後にフェルナンド・アロンソと言った。すると、全員が手を挙げた。すごい瞬間だった」「しかも我々は何年もアロンソを批判してきた。彼はいつも我々の表彰台を奪っていた。この男は本当に厄介だ、と」「イギリスにいると、アロンソへの批判や冗談を常に耳にする。『君はアロンソが好きなんだろう? でも彼はそんなに良くない』といった具合だ。なのに突然、工場全体がそれまでの言葉を飲み込み、アロンソを見たいと手を挙げた」ガランはさらに、メルセデスのエンジン部門が2007年にマクラーレンへエンジンを供給していたことにも触れ、長く在籍するスタッフにとっては特別な意味を持つ瞬間だったと語った。結果的にアントネッリ起用は成功当時、アロンソ待望論が強かったとしても、現在の結果を見ればメルセデスがキミ・アントネッリを選んだ判断は成功している。アントネッリは開幕4戦で3勝を挙げ、すべてのレースで表彰台を獲得。F1史上最年少の選手権リーダーとなり、メルセデスの新時代を象徴する存在になりつつある。経験と実績を持つアロンソは、ハミルトン後任として理にかなった選択肢だった。しかしメルセデスは即戦力よりも未来を選び、その決断は想定以上の速さで成果に変わっている。
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