メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフは、来週末に開催されるF1エミリア・ロマーニャGPでチームのガレージに立つことはない。これで今シーズン2度目の欠席となる。今年初めに鈴鹿を欠場したのは、近年の慣例に沿ったものだったが、今回のイモラを欠席する理由は、より個人的で祝福すべき内容だ。F1の過酷なスケジュールよりも「家族」が優先されたかたちである。
ヴォルフは、長男ベネディクトの卒業式に出席するため、アメリカを訪れる予定だとRacingNews365が報じている。この53歳のオーストリア人にとって、これは見逃せない人生の節目の瞬間だ。たとえその週末が、メルセデスのルーキーであるキミ・アントネッリにとってF1で初めて母国イタリアのファンの前で戦う特別なレースであったとしても、優先順位は明らかだった。今月初め、ヴォルフは息子のベネディクトと共にマイアミに姿を見せていた。ヴォルフには3人の子どもがいる。前の結婚で生まれたベネディクトとローザ、そして現在のパートナーでF1アカデミー代表のスージー・ストッダートとの間に生まれた末っ子ジャックだ。シャープなリーダーシップとチームへの深い献身で知られるヴォルフだが、彼の不在中もメルセデスの本部であるブラックリーは、信頼のおける体制が整っている。日本GPの際と同様、チームのチーフ・コミュニケーション・オフィサーであるブラッドリー・ロードが、現地での業務を引き継ぐことになる。一方で、レースにおけるメルセデスの勢いは続いている。マイアミGPでは、ジョージ・ラッセルが今季4度目となる表彰台を獲得し、アントネッリはスプリントフォーマットで自身初のポールポジションを記録した。ラッセルは現在、ドライバーズ選手権リーダーであるオスカー・ピアストリに38ポイント差まで迫っており、メルセデスはコンストラクターズ選手権でも141ポイントで2位につけ、105ポイントのレッドブルを大きく上回っている。