メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、最近のレースでレッドブル・ホンダF1がメルセデスのパフォーマンスを凌駕しているのは、ホンダのF1エンジンがパワーアップしたからだとの主張を崩さない。先週末のF1フランスGPでは、メルセデスが牙城を築いてきたポール・リカール・サーキットで、マックス・フェルスタッペンがメルセデスに大差をつけてポールポジションを獲得。決勝でもマシンスピードが必要な戦力で勝利を収めた。
これでレッドブル・ホンダは、F1モナコGPから3連勝となり、コンストラクターズ選手権2位のメルセデスとの差を37ポイントに広がった。ルイス・ハミルトンは、F1フランスGPでレッドブル・ホンダの方がコンマ3秒速かったと語っており、トト・ヴォルフは、特にポール・リカールでレッドブル・ホンダF1がメルセデスF1のパフォーマンスを上回っていたのは、ホンダF1が導入した2基目のF1エンジの効果が大きいと考えている。レッドブルF1のチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、エンジン開発があるためパワーアップは不可能であり、ホンダのF1エンジンは1基目と同じ仕様だと主張。ポール・リカールで速かったのはローダウンフォース仕様のリアウイングによるものだと説明している。「エンジンを改良することはできない。だから、私は彼が何について話しているのか分からない」とクリスチャン・ホーナーは、新型コロナウイルス時代の制限について言及した。「我々はより薄いリアウィングを使用した。それが我々の直線速度が良かった理由だ。ホンダは素晴らしい仕事をしているが、馬力の増加は見られなかった」また、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治も、パワーユニット自体は同じだと語っている。「パワーユニットの方は一緒ですが、エネルギーマネジメントをより洗練させ続けており、レースで学んだことを次のレース特性を見ながら調整しています。そうした日々の開発などなどが、性能向上に結びついていると考えています」と田辺豊治は語った。しかし、トト・ヴォルフはF1エンジンの開発制限のもとでもホンダには改善の余地があると Speed Week に語った。「耐久性を向上させれば、ハードウェアがほとんど同じでも、さらにパフォーマンスを向上させることができるはずだ」「彼らは明らかに大きく躍進した。我々よりも大きな飛躍だ。ストレートでの速さを見れば分かることだ。現時点で彼らを追い抜くことはできない」もうひとつ説明できることは、レッドブルF1がチャンスを掴み、メルセデスF1を倒して“パワーユニット時代”にタイトルを獲得するために開発を進めている一方で、メルセデスF1が2022年に集中するために今季マシンの開発を停止していることだ。2021年のタイトル獲得と、今後3シーズンのタイトル獲得のどちらが重要だと考えているかと質問されたトト・ヴォルフは「私にとってはどれも同じくらい重要だ」と答えた。「だが、2022年に導入されるレギュレーションは今後後数年にわたって適用されることを考慮しなければならならない。したがって、そのために今行っている取り組みは、現在のクルマに対する取り組みよりもさらに強力なものになっている」したがって、トト・ヴォルフは、今週末からレッドブルリンクで開催される2連戦でメルセデスF1を優勝候補として考えていないと語る。。「幻想は抱いていない。レッドブルの現在のパッケージは、パワーと優れたシャシーが揃っている。彼らに勝つのは非常に難しい」