メルセデスF1のテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、2020年のF1世界選手権で導入した革新的なDAS(デュアル・アクシス・ステアリング)システムが、短期間で期待していたパフォーマンス上のメリットの大部分を実現したと述べた。メルセデス W11は、バルセロナのカタルーニャ・サーキットでのプレシーズンテストでライバルに衝撃を与えた。オンボードの映像でメルセデスのドライバーがステアリングホイールを押し引きすることで、フロントタイヤのトー角を変更できるDASの存在が明らかになったためだ。
当時、FIA(国際自動車連盟)は、DASのコンセプトはレギュレーションで合法だと判断したが、その後、2021年から禁止するようにレギュレーションを変更。したがって、メルセデスがDASのポテンシャルが十分に発展させることはなかった。「我々は、比較的未完成な最初のバージョンに制限されることになった」とジェームス・アリソンは The Race のインタビューで認めた。「来年、すべてが禁止されるのは残念だが、納得している。おそらく我々が望んでいたことのほとんどを実現したと言える」「我々はDASが提供できる大量のものを手に入れたが、すべてではなかった。制限されてしまったものよりも、最終的にはもっと適切に制御することができたかもしれない」「アウトラップでタイヤに熱を加え、予選ラップやセーフティカーの後でもフロントをうまく目覚めさせることができたことはとても役に立った」ジェームス・アリソンは「古いタイヤから新しいタイヤまでイベントの過程でもっと使えるようになることを望んでいた」とし、当初のアイデアは「DASのわずかな微調整でコーナーを曲がりやすくすることだった」と続けた。「だが、ドライバーが右に左にと移動してしながら押し引きするのはあまり簡単ではないことがわかった」とジェームス・アリソンは認めた。オリジナルのDASコンセプトは、トー角を変更するために別のレバーを使用していたが、FIAはそれを技術規則に違反していると見なした。そこで、メルセデスF1は、DASのコントロールをステアリングホイールに移動することにより、それはステアリングシステムの一部に見なされ、ルールが再び厳しくなるまで許容された。ジェームス・アリソンは、通常のシーズンになっていれば、チームは初期不良を回避する方法を見つけることができたかもしれないと示唆した。「それほど新型コロナウイルスに気を取られないフルシーズンになっていれば、もっと多くの開発とテストの機会があったかもしれない。だが、我々はシーズンに利益をもたらし、投資と努力を価値あるものにした」ジェームス・アリソンは、DASがFIAのルールメーカーとすぐに衝突することになることは予想していたと語る。「我々来年それを取り去られることに激怒したわけでもなかった」とジェームス・アリソンは語る。「有益なものなので、他のすべての人がそのようなシステムを開発することを強いることは、自滅的だということを我々は理解している」
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