メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、2021年はダウンフォース削減策によって、F1チームが今年よりも速いマシンを生み出すチャンスはないと考えている。近年のレギュレーションの安定によってF1チームが劇的にパフォーマンスを解放し、タイヤへの過度な負担がかかるのを防ぐために、2021年のルールには多くの変更が加えられた。
主な違いはリアのフロアの床面積が減らされること。それに加えて、ディフュザーやブレーキダクトなども微調整され、全体で約10%のダウンフォースを削減が目標とされている。F1チームが作業できる面積が減少した場合、ダウンフォースを改善するために利用できる気流量は劇的に変化する。F1チームは損失の一部を取り戻すことを望んでいるが、トト・ヴォルフは、2021年に十分なラップタイムを取り戻し、さらに速くなるとの提案を打ち消した。「私はそうは思わない。タイヤ周辺のフロアで空力が大幅にカットされており、取り戻すまでにはしばらく時間がかかるだろう」とトト・ヴォルフはコメント。「我々はまだ来年の開発の真っ最中だが、すぐにそこにたどり着けるとは思っていない。その点で言えば、タイヤがさらに1段階硬くなるので、今年見たようなラップタイムに近づくことはないと思う。少なくともシーズン前半はないだろう」ピレリは、今シーズンに多くの故障を引き起こした問題を防ぐために2021年により頑丈なタイヤを導入する。したがって、新しい構造とコンパウンドは、過去2年間チームが走らせているものよりも遅くなる。ウィリアムズの車両パフォーマンス責任者であるデイブ・ロブソンは、新しいタイヤのテストで経験した1秒のドロップオフのすべてを取り戻すことはできないと考えている。「すべては取り戻せないと思う」とデイブ・ロブソンは語る。「それらを理解し、データと空中の相互作用を適切に調べれば、うまく対処できると思っており、そこでいくらかは取り戻せるとと確信している」「1秒遅くなるとは思わないが、すべてを取り戻すことはできないと思う」「本当に遅いタイヤだと思う。強くなり、耐久性が上がるのであれば、不合理なことではないかもしれないがね」新型コロナウイルスのコスト削減策により、F1チームは2020年のシャシーを新しいシーズンに持ち越す必要があるが、空気力学の変更は許可されている。チームは、他の限られた領域の変更に2つの開発トークンを費やすことができる。レッドブルF1のチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、RB16Bと呼ぶ2021年マシンは2020年マシンの約60%が引き継がれることを明らかにしている。