メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフは、F1シンガポールGPでルイス・ハミルトンがアンダーカットさせるのを防ぐためにバルテリ・ボッタスにバックオフするよう頼むのはいい気分ではなかったと認める。バルテリ・ボッタスは、ルイス・ハミルトンよりも早くにピットインを済ませており、メルセデスはレッドブルからポジションを守りながら、レースをリードするフェラーリを攻略する方法を見つけ出そうとしていた。
しかし、ルイス・ハミルトンの第1スティントを延ばすという決断は、バルテリ・ボッタスだけでなく、レッドブルのアレクサンダー・アルボンの後ろでコースに戻るリスクを生んだ。ルイス・ハミルトンがピットインする直前、メルセデスのストラテジストのジェームス・ボウルズは、ルイス・ハミルトンが前に出られるようにバルテリ・ボッタスに数秒後ろに下がってアレクサンダー・アルボンを抑えるように指示を出した。トト・ヴォルフは、そのようなメッセージを伝えるのは簡単なことではないと告白しつつ、先にピットインしたマシン勢のアンダーカットに対抗するためにはそれしか選択肢がなかったと感じたと語る。「我々があそこで行ったことは素晴らしい指示ではなかった。だが、アンダーカットは誰もが良そうしていたよりも強力だった」とトト・ヴォルフは語る。「フェラーリがセバスチャン(ベッテル)を先にピットインさせてドライバーの順位を入れ替えようとしたとは思っていない。そして、我々は勝利を守るために彼をステイアウトさせたことでルイスのポジションを危険に晒した」「バルテリにアルボンを抑えさせたのは、ルイスがアルボンの後ろで出ることになりそうだったからだ」「バルテリがああしてくれなければ、チームリザルトはもっと悪かっただろう。我々は彼に借りを作った」バルテリ・ボッタスは、選手権で自分のライバルであるルイス・ハミルトンをオーバーテイクせずにバックオフするのは不自然だと認めており、外部からは厳しいオーダーに見えたが、ハミルトンを攻撃することに意味はないと感じていると語る。指示が出たときは失望したかと質問されたバルテリ・ボッタスは「その時点ですでにわかっていたからね。僕たちには従う一定のルールがある」とコメント。「ピットストップの前には、予選が良かった方、ピットストップ前にまだ前にいる方が常に優先される。もちろん、短く走るか、長く走るかは選択できるけどね。彼は長く走ることを選択して、僕の後ろになった。そんな感じだ」「もし、僕が全開で走って彼をアンダーカットしていたら、アルボンもそうしていただろう。だから、その点に関してはチームのことを完全に理解しているし、その逆の場合でも彼は同じことをすることを知っている。逆になったら同じであることを確認するし、そうしてくれると信じている」「もちろん、外部からはかなり悪く見えるだろうし、私の側から見ても、バックオフして、チームメイトをオーバーテイクしないことは本能に完全に反している。それは意味をなさない」「でも、チーム内にどれだけ長くあったかはわからないけど、そういうルールがある。少なくとも僕が加入してからはね。でも、それは二人ともにある。ルイスだけではなく、二人ともにね。だから、問題はない」