メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンが今シーズン2度目の同士討ちを起こしたことで、次戦F1イギリスGPからチームオーダーを出すことも検討すると述べた。F1オーストリアGPの最終ラップ。ターン2でルイス・ハミルトンがアウトサイドからニコ・ロズベルグをパスしようとしたときに両者は接触。コーナーに深く突っ込んでポジションを守ろうとしたニコ・ロズベルグと、ターンインしてきたルイス・ハミルトンによって接触が発生した。
接触の衝撃でニコ・ロズベルグはフロントウィングを壊して4位でフィニッシュ。ルイス・ハミルトンは大きなダメージなく走り続けて勝利を飾った。 メルセデスのドライバーたちは、F1スペインGPの1周目でも同士討ちを起こしている。再びそれが繰り返されたことで、トト・ヴォルフはチームオーダーも考えなければならないと頭を抱えている。 「バルセロナの方がはるかに気楽だった。接触のないレースが30戦続いていたので、いずれは起きるだろうと思っていた」とトト・ヴォルフはコメント。「あの時は2台揃ってレースを終えた。そこで私は純粋にも“仕方がない。これで彼らも学んだだろう。どうなるかはわかったのだから、二度と起きることはないはずだ”と思った。だが、また起きてしまった」 「こうなってしまった以上、考えられるオプションを全て検討するしかない。その1つはレースのある段階で順序を固定することだ。嫌われるだろうし、私自身も吐きそうになる。私は彼らにレースをさせたいからだ。だが、接触せずにレースができないのなら仕方のないことだ」 ドライバーたちはそれぞれ自分の無実を主張しているが、トト・ヴォルフ自身も考えはあると述べた。「どちらかを責めることはしたくない。映像やオンボードを見るたびに新しい情報が入ってくるからだ」とトト・ヴォルフはコメント。「どちらか一方がもう一方より悪いと明言することはできない。私個人の意見はあるが、ここで表現するつもりはない。それを避けるのは当然のことだ」 「彼らの主張に関係なく、我々は決めなければならない。決めるのは核となるレースチームだ。どちらにも転ぶ可能性がある。2台のマシンの接触を避けるという結果が必要だ。そのために全ての可能性を考えなければならない。“聖域”というものは存在しない。全てを検討する」 ニコ・ロズベルグは、デグラデーションの早いタイヤ、さらにはブレーキ・バイ・ワイヤの問題を抱えていたため、今回の件は100%割り切れる問題ではないとトト・ヴォルフは語る。「黒と白に分けるつもりはない。ニコはハンディキャップを負ったマシンで遅くブレーキングしようとして、通常のラインを走れなかった。そこへルイスが外側からやってきた。ここで最初の接触は起きている。つまり、接触するには2人が必要だと言うことだ」 「まずは冷水を張ったバケツに頭を突っ込みたい…この後すぐそうするよ! 来週末もレースなので、2台が接近している時の対処法を関係者全員で内部的に議論しなければならない」 関連:【動画】 メルセデス、最終ラップで同士討ち / F1オーストリアGP