マクラーレンF1チームが、レッドブル・レーシングの最新パワーユニット投入に異議を唱えた。F1サンパウロGP決勝を前に、レッドブル・レーシングがマックス・フェルスタッペンのマシンに新品のホンダ製パワーユニットを投入した判断が波紋を広げている。マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、この決断がF1のコストキャップ規定における「ルールの精神」に反している可能性を指摘した。
F1サンパウロGP決勝を前に、レッドブル・レーシングがマックス・フェルスタッペンのマシンに新品のホンダ製パワーユニットを投入した判断が波紋を広げている。マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、この決断がF1のコストキャップ規定における「ルールの精神」に反している可能性を指摘した。フェルスタッペンは予選Q1で敗退した後、サスペンションのセットアップを大幅に変更。その結果ピットレーンスタートが確定したため、チームはその機会を利用して内燃エンジン、ターボ、MGU-K、MGU-H、バッテリー、コントロールエレクトロニクスをすべて新品に交換した。ステラは取材に対し、こうした判断が「予算制限内に収まるのか注視している」と語り、パフォーマンス目的の交換であるならコストキャップに算入すべきだと主張した。「率直に言って、こうしたパワーユニット交換はルールの精神に反している。このエンジンのコストが本当に制限の範囲内なのか確認したい。もし性能向上を目的に交換したのなら、それはコスト計算に含めるべきだ」とステラは語った。F1の財務規定では、信頼性トラブルに伴う交換はコストキャップ対象外とされる一方、性能向上のための交換は対象となる。そのためステラは「我々が壊れない限りエンジンを交換しない理由のひとつがそこにある」とも述べている。一方、レッドブル・レーシングのローラン・メキース代表は「新しいエンジンを使えるのは常にうれしいことだ」とコメントし、戦略的判断であったことを認めた。「シーズンを通して最後まで使い切ることもできたが、この機会を利用することにした。チーム間の差は非常に小さい。あらゆる要素が重要になる」とメキースは語る。またオランダの解説者イェルン・ブリークモレンもNOSに対し「この時期に新品エンジンを使えるのは大きなアドバンテージだ」とコメントし、フェルスタッペンの追い上げの一因になったと指摘した。レッドブルの判断は抜け道か、それとも巧妙な戦略か今回のレッドブルの行動は、規約上の違反ではないが、「パフォーマンス目的の交換」がコストキャップの範囲に入るというルール解釈の“グレーゾーン”を突いたものと見られる。ピットレーンスタートという不利を受け入れる代わりに、終盤戦に向けてフレッシュなエンジンを確保したレッドブルは、タイトル争いにおける武器を手にした形だ。マクラーレンとしては、フェルスタッペンが依然としてランド・ノリスとオスカー・ピアストリを追う立場である中、この「追加コスト」が競争の公正性に影響する可能性を懸念している。今後、FIAがこの事例をどのように扱うのか、他チームが同様の戦略に追随するのかが注目される。