マクラーレンがホンダを捨ててルノーのカスタマーになってから8戦しか経っていないが、チームはすでに恵まれたワークスステータスを放棄したことを後悔しているのかもしれない。開幕5戦では運も味方してポイントを積み上げてきたマクラーレンだが、ここ3戦ではパフォーマンス不足が顕著となり、追い打ちをかけるように信頼性トラブルも発生してノーポントに終わっている。
過去3シーズンで結果が出ないことをホンダのF1エンジンのせいにしてきたマクラーレンだが、ルノーに変更した今もそのパフォーマンス不足は変わっていない。すでに3勝を挙げているレッドブルと同じルノーのパワーユニットを踏査する言い訳はできない状況のなか、前戦フランスGPでマクラーレンは2台揃ってQ1で敗退し、レースもノーポイントで終えたことで、ファンも責任はホンダのエンジンではなく、マクラーレンのシャシーだったのではないかと批判している。そんななか、マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、レッドブルがタイトルを獲れていない状況を引合いにだし、“ワークスステータスでなければチャンピオンシップには勝てない”と耳を疑うようなコメントを発した。「レッドブルはカスタマーとして勝てることを示していると思うが、チャンピオンシップに勝つのはまた別のレベルだと思う。ワークスチームのステータスが必要だ」とエリック・ブーリエは述べた。ホンダをF1に復活させた元チーム代表のロン・デニスは、チャンピオンに勝つためにメルセデスのカスタマーエンジンを捨てて、ホンダとのワークス契約を選んだ。だが、シャシーは最高レベルだと豪語し、ワークスチームではなくてもチャンピオンを獲得できると言ってルノーのカスタマーになったのはエリック・ブーリエを含めた現首脳陣だ。加えて、マクラーレンはホンダとのパートナーシップの一環として年間1億ユーロ(約131億円)とも言われる資金注入を受けていたが、今ではパワーユニットの代金を支払う立場となっている。それでもエリック・ブーリエは、現時点では昨年よりもコンストラクターズ選手権での順位はいいとして、ルノーへ変更したことを正当化しようとしている。「昨年のこの時点で我々がまったくポイントを獲得できていなかったのは事実だ。我々は今ルノーと4位を争っている。改めて言うが、我々は今年自分たちに課した目標でもある快適な4位になることの方を好むだろう」とエリック・ブーリエはコメント。「今年のクルマが期待していたように機能していないのは明らかだが、我々はまだ実験的な経験としてそれを利用しているところだ」「我々は今年のクルマから学び、ルノーとの協力からも学びたいと思っている。数年間仕事をしてきたパートナーとは異なるパートナーだからだ。我々は新しいことを学ばなければならない。まだ検討できてない技術オプションもいくつかある」現在、F1のワークスチームは、フェラーリ、メルセデス、ルノー、そして、ホンダとパートナシップを組んでいるトロロッソの4チームだ。そして、来年からはレッドブルがホンダのワークスパートナーになる。
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