ロス・ブラウンは、論争の的となっている2021年のF1エンジン案を撤廃するつもりはないと語気を強めている。リバティ・メディアとFIAは10月31日(火)に2021年のF1エンジン案を発表。現行V6エンジンを維持しつつ、コスト削減のためにMGU-Hの廃止、コントロールエレクトロニクスやエネルギーストアの標準化、またサウンドの向上のための回転数の増加などが盛り込まれていた。
だが、これに既存エンジンメーカーは猛反発。フェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長は、フェラーリのF1撤退をちらつかせている。かつてフェラーリのテクニカルディレクターを務めたロス・ブラウンだが、現在はF1のスポーティングマネージャーとしてフェラーリのF1撤退を阻止することに取り組んでいる。メルセデスも同様に撤退をほのめかしていることに関して、ロス・ブラウンは「あのような反応にはかなり驚いている」と Auto Bild にコメント。「何度か会議を行ったし、方向性は明白だったと思っている。全員がエンジンが達成すべき新しい目標に全会一致で合意していたし、新しいルールはそれをベースにしている」しかし、ロス・ブラウンは、意見の相違は終わりではないだろうと語る。「前菜はあるがメインコースのない、もしくはその逆のレストランのようなものだ」とロス・ブラウンはコメント。「今、新たな議論が行われているのはそのためだ。自動車メーカーがもっと良いソリューションを提供するにであれば我々はオープンだ。だが、現在のパワーユニットのままでいることは選択肢ではない」ロス・ブラウンは、F1ファンの“60~70%”が音量が大きく、スペクタクルなエンジンを望んでいるとし、新しいメーカーは変化がなければ参入してこないだろうと語る。フェラーリのF1撤退の脅威について「それは大袈裟な質問だ」とロス・ブラウンはコメント。「もちろん、我々はフェラーリを失いたくない。フェラーリはF1から利益を得ているし、F1もフェラーリから利益を得ている。だが、全てのパートナーシップは限界がある」「フェラーリが受け入れるか、我々が受け入れるかの問題だ。我々は全員をF1に維持するソリューションを見つけたい。何よりも象徴的なチームを失いたくない」「彼らはF1の重要な一部であり、我々は彼らを尊重し、耳を傾ける必要がある」