ランス・ストロールにとって、イタリアGPは厳しい週末となった。カナダ人ドライバーはQ1で敗退し、モンツァの決勝を17番手からスタート。チームメイトのフェルナンド・アロンソがQ3進出を果たし9番手に並んだのとは対照的だった。しかし決勝ではアロンソが序盤にリアサスペンションの故障でリタイア。アストンマーティンの望みはストロールに託されたが、結果は18位フィニッシュ──最後まで走り切ったマシンの中で最下位に終わった。
チームはストロールを1ストップ戦略に乗せ、ほぼ全レースを同じタイヤで走らせる決断を下した。さらに彼は、ハースのエステバン・オコンとの接触にも直面した。ロッジアシケインでオコンに押し出される形となったのだ。レース後のメディア対応で、ストロールの口から出た言葉は少なかった。モータースポーツ・ウィークを含むメディアに対して、タイヤ戦略が裏目に出たのではと問われると、彼の返答は「うん」の一言のみ。さらに「レースについて他に何か考えは?」や「オコンに押し出されたと思うか?」と重ねて問われても、沈黙が続いた末に返ってきたのは「特にない」という短い答えだけだった。オコンに科された5秒ペナルティについて意見を求められても、ストロールの答えは「何も言うことはない」。そう言い残すと彼は場を後にし、メディア陣は次のターゲットに向かうしかなかった。寡黙さで知られるストロールは、前戦オランダGPでも同様の姿勢を見せていた。ザントフォールトの予選でスピンしクラッシュした際も、取材陣にほとんど言葉を発さず、質問の途中で立ち去っていた。