桜井孝太郎が、7月15〜17日にフランス、ポールリカール・サーキットで開催されたイギリスF3選手権(第16〜18戦)に参戦し、ルーキークラスで3連勝を達成。第18戦ではチャンピオンクラスのマシンを9台抜いて、今季ルーキークラスでのベスト・フィニッシュを果たした。前戦のニュルブルクリンクに続くヨーロッパ・ラウンドとなったフランス、ポールリカール・サーキットは、トヨタがF1マシン開発用テスト・サーキットとして莫大な投資をしたHTTT(ハイ・テクノロジー・テスト・トラック)と呼ばれる特殊なサーキット。
低速、中速、高速、複合といったすべてのタイプのコーナーを兼ね備え、そのうえで長い直線を持つサーキットとなっている。計測システムや監視カメラにも最新技術が投入され、ラインカット等のペナルティもいつもより厳しくチェックされる。桜井孝太郎にとって、ポールリカール・サーキットは、シーズン前のGP3テストで走った、ヨーロッパでの最初のサーキット。今シーズンのイギリスF3選手権では、F3マシンに慣れながら、しかも毎回初めてのサーキットでの戦いが続いてきたが、ようやく経験のあるサーキットでの戦いとなった。フリー走行から積極的にセットアップを煮詰め、走行開始直後から、テクニカル・セクションでは、パワー的にも20馬力以上違うチャンピオン・クラスのマシンの間に割って入る区間タイムをマークし、決勝への期待が高まった。土曜日の第16戦、日曜日の朝の第17戦と、得意のスタートを決めて、チャンピオンクラスのマシンと激しいバトルを展開しながら連続完走。クラス優勝とファステストラップを確実にマークし、40分に渡る最終レース、第18戦を迎えた。第18戦は、スタート直後の2コーナーで4台が絡む接触事故のため、セーフティーカーが導入されたが、桜井孝太郎選手は予選20番手のポジションから、今回もスタートで前方のマシンをパスし、アクシデントの混乱に乗じて、うまく11番手までポジションをアップ。再スタートが切られた直後から、チャンピオンクラスのマシンとひとつの集団になって、接触寸前の激しいバトルを展開した。しかし、チャンピオンクラスのマシンを相手に何周にも渡って粘ったものの、やはりパワーに劣り、ダウンフォースに劣るマシンでの戦いは厳しく、一時は16番手までポジションダウン。そこから再び粘り強い走りを見せて、次第にポジションをあげ、ラスト10分間では前をいくチャンピオンクラスのマシンを凌ぐタイムを連続でマーク。素晴らしい追い上げを見せ、クラス優勝、総合11位でチェッカーを受けた。所属するハイテック・レーシングのライアン・シャープ監督は「孝太郎の今日の仕事はエクセレント。エンジンパワー差が出る高速コースなのに、最後はチームのシミュレーションの計算より2秒近く速いラップタイムで走っていた。マシンではなく、ドライバーが大きく成長した証拠だ」と絶賛。今回、ルーキークラスで3連勝、ファステストラップを獲得したことで、ランキング首位のバート・ヘレキマとのポイント差も1点まで迫り、残り12レースでの逆転チャンピオンに向けて、大きな成果のあるレースとなった。桜井孝太郎「第16戦、第17戦の両方のレースで、チャンピオン争いをしているヘレキマ選手よりも前でゴールできたし、第18戦では最初から最後まで荒れに荒れたサバイバル戦をうまく生き残り、なおかつチャンピオンクラスのマシンにも、タイムでも走りでも食いついていくことができたので、凄くエキサイティングなレースでした。ハンディキャップが大きく響くと思っていたコースだったので、この結果はすごくポジティブだと思います。目の前のリザルトよりも来年やその先の未来のために、ドライバーとして大きく成長できた週末でした。これは今後に大いに影響すると思います。世界で戦っている同じ年代のドライバーたちよりも、一歩でも前へ行けるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」