F1日本GPで発生したオリバー・ベアマン(ハースF1チーム)の大クラッシュは、最大50km/hに及ぶ速度差が生じていた可能性が指摘されており、現行F1マシンの安全性に関する課題を浮き彫りにした。ベアマンは18番グリッドからスタートし、序盤に14番手まで浮上。前を走るフランコ・コラピントを追いながら、オーバーテイクの機会をうかがっていた。
308km/h・50Gの衝撃 クラッシュの経緯ハードタイヤに交換後、ベアマンはペースを上げ、21周目のヘアピン立ち上がりから接近。13コーナー進入ではコラピントとの距離が急激に縮まり、回避操作を強いられたことでマシンのコントロールを失った。この際、ベアマンはスリップストリームに入っており、ダウンフォースの低下やバランス変化が重なったとみられる。チームデータによれば、衝突時の速度は308km/h、衝撃は50Gに達したが、ベアマンに深刻なけがはなかった。減速ではなく“速度差の拡大”が焦点事故の要因については、コラピントの急減速ではなく、両者の速度差が急激に拡大した点が注目されている。テレメトリー上、コラピントの速度は前周と大きな差はなかったとされる一方、ベアマンはエネルギー展開の変化により加速していた可能性がある。コラピントはベアマンの速度が最大45km/h高かったと証言し、小松礼雄も約50km/hの差があったと示唆している。このような速度差は、電気エネルギーの使用状況によって発生した可能性が指摘されている。他の場面でも確認された速度差同様の現象はこの事故に限らない。37周目にはジョージ・ラッセルがソフトウェアの問題により急減速し、後方のシャルル・ルクレールとの間に大きな速度差が生じた。このケースでは接触には至らなかったものの、状況次第では重大な事故につながりかねない挙動だった。これらの事例は、現行F1マシンにおいて条件次第で大きな速度差が発生し得ることを示している。テレメトリーと関係者の証言からは、電気エネルギー管理が速度差拡大の一因となっている可能性が浮かび上がっている。今回のベアマンのクラッシュは単発の事故ではなく、FIAと各チームに対して電動化時代の安全性の再検討を促す事例となった。