2021年のF1世界選手権 第2戦 F1エミリア・ロマーニャGP 決勝でのタイヤ戦略をF1公式タイヤサプライヤーのピレリが解説した。エミリア・ロマーニャ・グランプリの決勝は、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、インターミディエイト~ミディアムと繋ぐ戦略で優勝した。ピレリがタイトルスポンサーを務めるスリリングなイモラでのレースは、接触事故に伴うデブリ除去のために、34周目に赤旗中断となった。
赤旗中断中にはマシンの調整やタイヤ交換が許可されていることから、レースは残り29周のスプリントレースの様相を呈した。スタート前の降雨によって、大半のドライバーがCinturatoグリーン・インターミディエイトを、4名のドライバーがCinturatoブルー・フルウエットタイヤを装着してスタートした。赤旗中断は、路面がドライになりつつある状況で発生した。赤旗の前には2回のセーフティカー導入が行われていた。2回目のセーフティカー導入周回中、全ドライバーがスリックタイヤへの交換を終えた。インターミディエイトからスリックタイヤへのクロスオーバーポイント到達後、ハースの両ドライバーがP Zeroレッド・ソフトへ、他のドライバーはP Zeroイエロー・ミディアムへ交換した。マックス・フェルスタッペンは、オープニングラップの最初のコーナーで、ポールポジションからスタートしたメルセデスのルイス・ハミルトンを抜いてトップに立った。赤旗中断後、ミディアムタイヤで再スタートしたフェルスタッペンは、その後もフィニッシュまでトップの座を維持した。ルイス・ハミルトンは、赤旗直前のコースアウトによって後退しながらも、ファステストラップポイント獲得を含む見事な追い上げを見せ、2位を獲得した。マクラーレンのランド・ノリスは、最終スティントをP Zeroレッド・ソフトタイヤで走行し、3位でフィニッシュした。雨、セーフティカー、赤旗の影響により、急速に変化する状況への対応が戦略の課題となった。そのようななか、Cinturatoグリーン・インターミディエイトでスタートし、赤旗中断直前にP Zeroイエロー・ミディアムへ交換する戦略が主流となった。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC2】このタイヤの適性を発揮することが難しい気温13℃、路面温度18℃のコンディション下、レースでの使用機会はなかった。【ミディアムC3】レースでのメインタイヤとなり、大半のドライバーがインターミディエイトからミディアムへ交換してフィニッシュした。優勝したフェルスタッペン、ファステストラップを記録したハミルトンは、ともにミディアムタイヤで30周以上走行した。【ソフトC4】再スタート時、トップ10中の4名がソフトタイヤを使用した。なかでもマクラーレンの両ドライバーは、ソフトの摩耗を見事にマネージし、ノリスは29周を走行して表彰台を獲得した。【インターミディエイト】スタート時に大半のドライバーが装着したインターミディエイトは、クロスオーバーポイントに達するまで、乾いていく路面コンディションに良好に対応していた。数多くのドライバーが、インターミディエイトで28周を走行した。【フルウエット】アルファタウリのピエール・ガスリーを含む4名のドライバーが、フルウエットでスタートした。ガスリーは、他のドライバーよりも長い14周をフルウエットで走行し、インターミディエイトへ交換した。マリオ・イゾラ(ピレリF1およびカーレーシング責任者)「イモラの難しさを浮き彫りにするような事故に伴う赤旗中断によって、レースがふたつのパートに分断されたことが、不安定で冷涼な天候下のレースをさらに複雑にしました。レース週末中、インターミディエイトとフルウエットによる走行機会がなかったことから、各チームは、走行中にクロスオーバーポイントを見極める必要がありました。そのようななか、ドライラインが見え始めたとき、フェルスタッペンとレッドブルは、ルイス・ハミルトンより先に完璧なタイミングでピットストップを行いました。赤旗中断後の再スタート後、大半のドライバーが使用したミディアムタイヤは、ドライコンディション下のレースでの重要な場面で、性能と耐久性の見事なバランスを示していました。また、表彰台を獲得したノリスを含むドライバーが使用したソフトも、最終スティントで力強い性能を見せました。記憶に残るレースでタイトルスポンサーを務められたことを光栄に思います」
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