3月18日(土)にフロリダ州のセブリング国際レースウェイにてIMSAウェザーテック選手権第2戦「第67回セブリング12時間レース」が開催され、マツダUSAモータースポーツから2台のプロトタイプマシン「マツダRT24-P」が出場。55号車(ジョナサン・ボマリート/トリスタン・ヌネス/スペンサー・ピゴット)がクラス5位完走を果たた。一方、70号車(ジョエル・ミラー/トム・ロング/マリノ・フランキティ)はサスペンショントラブルのため途中リタイヤとなった。
毎年3月中旬のフロリダ半島中部で開催されるセブリング12時間は、酷暑の耐久レースとして知られている。朝晩はまだ気温15度前後と肌寒いものの、太陽が照りつける日中は26度から場合によっては30度にも上がる。また、飛行場の滑走路跡地を利用しているため、路面は硬質のコンクリート敷き部分が多く、また接続部にはアスファルト部分もあり、バンピーであり路面の摩擦係数が変化してグリップを一定に保つのが難しく、段差のあるつなぎ目では、激しくマシンがバンプしたり、トラクションが抜けた瞬間に横方向に飛ばされそうになったりと、セッティングの難しさも加わる。開幕戦のデイトナ24時間レースで実戦デビューしたばかりのマツダRT24-Pだが、デイトナでは2台ともフィニッシュラインを越えることなくレースを終えているため、なんとしても完走を果たし、上位入賞することがチームの目標だった。セブリングはチームの本拠地からも近く、昨年のうちに開発テストでニューマシンを走らせている実績がある。しかし、今回は気温・路面温度共に高く、ターボカーであるRT24-Pはプラクティスから苦しい展開を強いられる。それでも気温が低いナイトセッションではトップタイムに迫る速さを見せた。コーナーでのトラクション不足に苦しみながら、気温がピークを迎えた金曜日の14時過ぎに行われた公式予選では、8番手(55号車)、10番手(70号車)のタイムを記録するに止まった。 「それでも決勝レースは長丁場、何が起こるかわかりません。とにかくこのタフなコンディションで私たちのマシンがどこまでパフォーマンスを発揮できるか、行方を見守ってほしい」とマツダUSAのモータースポーツ担当ダイレクターのジョン・ドゥーナンは語っている。レースがスタートすると、早くも2周目に55号車はタイヤにフラットスポットを作ってしまい、ピットイン。序盤から波乱の様相を呈していた。そして、1時間10分経過時点のバックストレートにて、ミラーが駆る70号車がタイヤバリアに向けて一直線に激突。幸いドライバーにけがはなく、マシンもフロントノーズ交換と各部のチェックだけで再始動できそうだ。のちにこのアクシデントはブレーキのトラブルだとわかった。これで70号車は大きく下位に沈むことになる55号車はグリップ不足に苦慮しながらも徐々にポジションをあげ、序盤のうちに総合5位に上がって行った。しかし、3時間経過ののち、水温が異常上昇。クーラントリークが明らかになったため、ガレージで修理。これに時間を要し、トップから25周ほど遅れてしまう。2台がコースに戻った以降は、気温・路温ともに落ち着き始め、2台は徐々にペースを上げて行った。ところが、午後6時過ぎ頃から70号車のエンジンにミスファイア傾向が見られるようになる。ECU とデータを交換するなど、解決を試みますが抜本的な改善には至らず、ガレージに戻って行った。その際にサスペンションの一部にクラックが入っていることが発見された。クラッシュの影響だったかもしれない。パワーユニットの変調がなければ、その後重大なアクシデントを引き起こしていたかもしれない。70号車はここでリタイヤとなったが、チームは危険を回避することができた。55号車はその後もハイペースを続け、先行されていたGTカーを次々にパス。一時クラス8位まで落としていた順位を5位にまで戻し、アンカーのヌネスが12時間目のチェッカーフラッグを受けてレースを終えた。
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