1月28日・29日にフロリダ州デイトナ・インターナショナル・スピードウェイにてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦「デイトナ24時間レース」が開催され、マツダUSAの公式チームから出場したマツダRT24-Pは、1台が20時間まで総合5位を快走するもののオイルリークからの出火のためリタイヤとなり、残る1台がチェッカーフラッグまであと30分を残した時点で駆動系トラブルにより戦列を去ることになった。
28日はやや肌寒く曇りがちな空の下、24時間決勝レースのスタート時刻を迎えた。9番手からスタートした55号車(ジョナサン・ボマリード)は序盤から上位グループに粘り強く止まり続け、その後徐々に順位を上げていった。一方、ジョエル・ミラーの70号車は、スタート直後にコース上に飛んできたビニール製の異物をエアインテークに受け、それを取り除くためにピットイン。早々にタイムロスする展開となった。しかし、その後は順当にGTクラス、PCクラスのマシンをオーバーテイクし、序盤のうちにPクラスの最後尾に追いつくことができた。しかし、最初のドライバー交代時にトム・ロングがスタートしようとクラッチミートした際にエンジンがストール。なんとか発進したところ、ビットアウトレーンを出たところで後方からコースを走ってきたDPi車にヒットされ、スピンを喫してしまった。ボディへのダメージはさほど大きくはなかったため、ドライバーは安堵したが、実はその前のピットアウトレーンのイクジットではレッドライトが点灯されており、それに気づかずコースインしたことに対してピットストップペナルティを課せられてしまった。これでまたGTLMクラスの後方へとポジションを下げることになってしまう。ナイトセクションに入る頃雨が降り出し、雨脚は一時強くなった。そして、トラックは朝を迎えたのち徐々にドライコンディションへと変わっていった。クラッチの不調が顕著となったため数時間かけてトランスミッションアッセンブリーを交換した70号車は夜半過ぎにコースに復帰し、一方の55号車はその間も安定したペースで周回を重ね、5位までポジションを上げた。過去3年間のプロトタイプカーでのデイトナ挑戦では、朝方まで走り続けることができなかったが、ニューカーでのチャレンジとなった今回は2台とも元気に朝を迎えることができた。 しかし、好事魔多し、の例え通り今年もトラップが用意されていた。路面が乾き、ウェットタイヤからスリックタイヤに交換すべく55号車がピットインした際、リヤ部から出火しピットにたどり着く寸前には炎がリアカウルの間から見えるほどだった。ドライブしていたスペンサー・ピゴットは「減速してピットに向かっていると、リヤからブンッという音がし、その後煙の匂いがしました。僕の体はなんともないですが、走り続けることができなくてとても残念です」と語っている。消火後ガレージでチェックを受けたのち、火災の原因はエンジンオイルのリークに引火したもので、エンジン本体のトラブルではないことがはっきりした。しかし、マツダRT24-P 55号車の完走の夢はここで絶たれている。また、トップから180周以上遅れてトラックに戻った70号車が24時間目のチェッカーフラッグを受けるべく、快走を続けたが、レースが残すところ30分を切った時点でピットイン。駆動系トラブルで戦列を去ることになった。乗っていたトム・ロングは、「ギアがどこにも入らなくなり、なにもできなくなりました。走り続けられないことは仕方ないですが、クルマを準備し必死に夜中にギアボックスを交換してくれたメカニック達には心から感謝しています」と語っている。マツダUSA・モータースポーツ担当ダイレクターのジョン・ドゥーナンは、「今回私たちは、マツダのブランドストーリーを語るためここへやってきました。そして勝利を志しました。目標は日曜日に生き残っていることであり、さらに最終ラップにレースをリードしていることでした。2台はともに前者は達成しましたが、ともに後者を掴むことはできませんでした。このレースではいくつかの問題がおき、そこから多くを学びました。マツダはチームとしての勝利を目指し、そしてチームとして学ぶのです。これが、今回我々が手にして帰るものです。今回2台合計でおおよそ38時間も走り続けられたことを糧に、6週間後に迫った次のセブリング12時間に挑みます。セブリングでもマツダは過去に13回もクラス優勝を果たしています。私たちは、セブリングでマツダバナーを(センターポールに)掲げたいと望んでいます」と語った。IMSAウェザーテック選手権セブリング12時間レースは、3月18日(土、アメリカ東部時間)に行われる。
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