ランド・ノリスのハラハラする勝利から、フェラーリに襲いかかった悲劇的な展開、そしてミッドフィールド勢による素晴らしいポイント獲得まで──ハンガロリンクでのレースは実に見応えのあるものだった。だがサーキットでの戦いの裏側でも、注目すべき出来事が多くあったのだ。ここでは、週末に起きた“見逃し厳禁”の9つのトピックを紹介しよう。
構え、アルピーヌ!木曜日のメディアデーでは、アルピーヌのピエール・ガスリーとフランコ・コラピントが、ヘルメットをフェンシングのマスクに持ち替えた。ハンガリーのオリンピック金メダリストたち──パリ2024男子エペ団体のチャンピオン、ティボール・アンドラフィ、マーテー・タマーシュ・コッホ、ダーヴィド・ナジ、ゲルゲイ・シクローシと出会ったのだ。2人は実際にフェンシング用の防具を身に着け、トップアスリートたちの指導のもと、まったく異なる「高速スポーツ」でその反射神経を試すことになった。アルゼンチン出身のフランコ・コラピントがゲルゲイ・シクローシと対面バニーモード、発動ハンガリーから約8000キロ離れたプエルトリコでは、メルセデスがレゲトンスターのバッド・バニーとのコラボを発表すべく、初のF1ストリート・エキシビションを開催。イベントでは元F1ドライバーのエステバン・グティエレスが登場し、バーンアウト、高速ラップ、ドーナツターンで観客を魅了。まさに前代未聞の“ストリートジャック”だった。 この投稿をInstagramで見る Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team(@mercedesamgf1)がシェアした投稿パドックに現れたペロトンF1パドックに新たな“クラブ”が誕生している。カルロス・サインツ、オリバー・ベアマン、そしてメルセデスのリザーブドライバーであるバルテリ・ボッタスが、週末の合間を縫ってサーキット周辺をライドする“ミニ・ペロトン”を形成しているのだ。サイクリングはドライバーにとって重要なトレーニング手段だが、この3人はその一歩先を行く。サインツとベアマンはツール・ド・フランス王者タデイ・ポガチャルと一緒にトレーニングし、ボッタスはプロサイクリストのパートナー、ティファニー・クロムウェルと共に実際のレースにも出場している。今週のハンガリーでは、ウィリアムズの代表ジェームス・ボウルズもペダルをこぎ、トップレベルのフィットネスに食らいついた。この調子なら、最終戦アブダビで“本気の勝負”が見られるかも…? この投稿をInstagramで見る James Vowles(@jv.f1)がシェアした投稿F1ドライバーたちを圧倒したのは誰?最近のF1パドックには多くのスターが出入りしているが、ドライバーたちは大抵は落ち着いた反応を見せる。だが今回、登場したのは「ハイド・ザ・ペイン・ハロルド」だ。本名アンドラーシュ・アラトー。80歳のハンガリー人で、「笑顔の裏に痛みを隠している」というミームで世界中に知られている人物だ。日曜日のピットレーンに彼が現れると、アイザック・ハジャーは目を疑った様子で、フェルナンド・アロンソやガブリエル・ボルトレトも握手と写真撮影を欠かさなかった。 この投稿をInstagramで見る FORMULA 1®(@f1)がシェアした投稿ハンガリーを訪れた映画スターたち今週末のハンガロリンクには豪華ゲストが集結。新キャプテン・アメリカのアンソニー・マッキーはFP3前にルイス・ハミルトンと歓談。アニャ・テイラー=ジョイはフェラーリのガレージを訪問。日曜には、ジェイミー・ドーナンがマクラーレンの1-2を祝福しながらチームと共に過ごし、ガンズ・アンド・ローゼズのロックスター、アクセル・ローズはレッドブル・レーシングのガレージに姿を見せた。 この投稿をInstagramで見る McLaren(@mclaren)がシェアした投稿ランドは念入りに…今回は2025年の5勝目を挙げたランド・ノリスは、2年前の“あの事件”を繰り返さないよう慎重だった。2023年のハンガリーでは、2位フィニッシュ後にシャンパンの“スパイク”で表彰台を盛り上げた際、誤ってフェルスタッペンの陶器製トロフィーを壊してしまったのだ。今回ノリスは、シャンパンボトルに「トロフィーを壊すな!」と自筆で記し、表彰式では自分とオスカー・ピアストリのトロフィーを安全な場所に移動させてから祝杯をあげた。 この投稿をInstagramで見る FORMULA 1®(@f1)がシェアした投稿アクセル・ローズ、再び登場ノリスのF1通算9勝目に、チェッカーフラッグを振ったのはロック界のレジェンド、アクセル・ローズだった。F1ファンとしても知られるローズは、2007年王者キミ・ライコネンと親交が深く、2008年のアルバム『チャイニーズ・デモクラシー』のクレジットにもライコネンの名を記している。「ずっと彼のファンだった。いつも観てたし、ウマが合うんだ」と2023年に語っていた。日曜のローズは、革パンツにカウボーイブーツ、胸元の開いた黒のシルクシャツという全身ブラックの装いで、まさにロックスターそのものだった。アクセル・ローズがチェッカーフラッグを振るアロンソとボルトレトにとって忘れられない週末フェルナンド・アロンソとその後輩ガブリエル・ボルトレトにとって、ハンガリーは忘れがたい週末となった。ボルトレトは自己最高のF1リザルトとなる6位を獲得し、アロンソは今季最高の5位でフィニッシュした。ブラジル出身のボルトレトは、2022年にアロンソのマネジメントチームと契約して以降、F3、F2を制覇して今年F1にステップアップ。今季はキック・ザウバーから参戦している。土曜のパルクフェルメでは、予選5位のアロンソにボルトレトが駆け寄り祝福。決勝後のメディアペンでは、アロンソが冗談交じりに彼をいじる微笑ましい場面も(動画は以下参照)。アロンソにとっては誕生日ウィークでもあった。火曜には44歳を迎え、金曜のFP1は背中の筋肉痛で欠場。それでも土曜と日曜には輝きを放ち、「この世代で最高のルーキー」とボルトレトを絶賛した(DAZN Spainより)。ファンステージの“アートアタック”ファンステージでのドライバー登場は毎週末の名物だが、ハンガリーでは例年以上の盛り上がりを見せた。ウィリアムズのアレックス・アルボンとカルロス・サインツ、レーシングブルズのアイザック・ハジャーとリアム・ローソンが参加し、アートとクラフトに挑戦。思わぬ才能(?)を発揮するドライバーも…?カーボノによる“傑作”は、あなた自身の目で確かめてほしい──。
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