2013年スーパーフォーミュラは、山本尚貴(TEAM 無限)が逆転でチャンピオンを獲得した。鈴鹿サーキットで開催されたスーパーフォーミュラ最終戦の決勝レースは20周のレース1と28周のレース2が別々に行われる変則的な2レース制が採られた。シリーズチャンピオン逆転奪取の可能性を残していた山本尚貴はレース1、レース2ともポールポジションを獲得。ポイント差を11ポイントへと縮めた。タイトル獲得には優勝1回と表彰台1回を獲得することが条件となった。
迎えたレース1。先頭に立った山本尚貴はベストタイムを連発しながら、独走状態へ。その後も危なげなくレースをまとめ上げ、先頭でチェッカーフラッグを受けて、初優勝を飾った。これはTEAM無限にとっても初めての国内トップフォーミュラにおける優勝となった。レース2は、レース中に1回のタイヤ交換ピットストップが義務づけられる。路面はすでに予想以上の早さで乾き出していたため、レインタイヤでスタートしたチームの一部は1周を終えたところでピットインしてドライタイヤに交換。スタートで首位をキープした山本尚貴は、2周を終えたところでタイヤ交換のためのピットインして順位を落とす。終盤に再び雨が強まるトリッキーなコンディションとなったが、慎重なレース運びで3位でフィニッシュ。レース2の結果により、山本尚貴は、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)と同点の合計37ポイントに。選手権規定では同点の場合、1大会で獲得したポイントが多い選手を上位とすると定められており、今大会で13点を獲得した山本尚貴が逆転でシリーズチャンピオンとなった。山本尚貴にとっては初めての王座。また、5シーズンにわたった現行規定によるシリーズで、ホンダ製エンジンを使用したドライバーでは、2009年のロイック・デュバル選手以来のチャンピオン獲得となった。山本尚貴「レース1では結果的にラッキーな面もあって、トップに出られました。でもその後は、本当にマシンの調子がよかったので優勝できました。レース2ではスタートがうまく決められました。ただ、コースが乾いていることは感じたのですが、決断を1周遅らせてしまったのが響いてしまいました。途中、ペースが上がらなくて、半ばあきらめかかったのですが、そこであきらめないでよかったです。もちろんチャンピオンを取りたいと思ってこの週末に臨みましたが、条件的には非常に厳しいなと思っていました。でも土曜日の走り始めからマシンの調子がよかったので、これはいけるかもしれない、と希望が出てきました。でもまさか本当に取れるとは思いませんでした。マシンもエンジンもすばらしかったです。すべてが噛み合ったからこそ、たどり着いたチャンピオンだと思います」坂井典次 (「HR12E」開発責任者)「最後には雨が降ってきましたが、スタート前、山本選手には『自分とマシンを信じて行け』と声をかけてレースに送り出しましたので、心配はしていませんでした。このエンジンにとって最後のレースでしたが、最高の締めくくりになりました。これはドライバーのがんばりがあってこその結果です。マシンを開発してきた者として、この上ない喜びを感じています。我々はドライバーからの情報をベースとするわけですが、弱点をどうカバーできるか、長所をどう伸ばすかと考える際、今年は山本選手が積極的にいろいろな方面から大変多くの要因を突き詰めてくれました。彼がいろいろな積み上げをしてくれて、こういう結果が出せました。本当によくやってくれたと言いたいです」