7月28日(土)~29日(日)、ベルギーのスパ・フランコルシャンで伝統のスパ24時間レースが開催された。今大会に、Castrol Honda RacingがNSX GT3を駆って参戦。スパ24時間にNSXがエントリーするのは、初代以来25年ぶりとなった。予選では、ベルトラン・バゲットがトップからわずか0.8秒差につけるなど、好調さを見せたCastrol Honda Racing。490ラップ、3500kmにも及ぶレースを完走した。
最初のスティントを担当したのはエステバン・グエリエリ。24時間レースへの参戦は初めてだったが、Pro-Amカテゴリーの9番手からスタートし、スタート後2時間で総合49番手、クラス3番手までポジションを上げた。アマチュアである「ブロンズドライバー」として加入したリカルド・パトレーゼとロイック・デパイユも不運に見舞われる。パンクを喫し、ピットレーンでのスピード違反でペナルティーを科され、さらにはピットイン直後にフルコースイエローとなるなど、さまざまな困難があり、レースの6分の1となる4時間経過時点で首位から3ラップ遅れとなった。それでも、2人とも安定した走りを披露し、夜間走行ではバゲットとグエリエリが交代なしで走るダブルスティントを敢行。夜が明け始めるとデパイユにバトンタッチした。順位はクラス8番手まで落としていたが、グエリエリが追い上げ5番手に浮上するも、接触による30秒ペナルティーが科されてしまう。さらに、終盤にはエアコンのシステムに問題が発生し、予定外のピットストップを強いられる。しかし、デパイユからスイッチしたグエリエリは、エアコンなしでまたもやダブルスティントへ。最後を託されたバゲットが、クラス7位でチェッカーフラッグを受けた。ベルトラン・バゲット「目標は完走することだったので、それを達成できて満足しています。マシンはとてもスムーズで、エアコンの問題を除いてトラブルはありませんでしたし、予選でもトップに近いラップタイムが出せました。マシン、チームともに新しい体制で臨みましたが、私は唯一のスパ24時間経験者ですから、この結果がどれだけ誇れるものかが分かります。睡眠も取れずに長時間プッシュし続けるこのレースでは、真にすべてを出し切ることが求められます。ドライバーにも、メカニックにも厳しい戦いなのです。チーム全員が苦しみながらも懸命に仕事に取り組み、本当に特別な瞬間を共有できます。我々は、最高のチームスピリットを持つ、素晴らしいチームでした」エステバン・グエリエリ「初めての24時間レースでしたが、このレースを言葉で表すのは難しいです。とても厳しい戦いのに、完走した瞬間にすべての努力が報われた気持ちになりました。チーム全員でフィニッシュを見守り、とても感動的でした。最後のスティントは、エアコンなしで暑い中で腕がつって、かなりの疲労の中で、自分の持つすべてを出し切りました。レースを甘く見ていたわけではないですし、かなり準備もしてきたのですが、それでもとてもタフな戦いでした。チーム全員で懸命に働いてきたので、この結果を誇りに思います」リカルド・パトレーゼ「このレースウイークはすごく楽しく過ごせました。自分がまだマシンを速くドライブできるのか、ミスはしないか、このスパで60台ものマシンと戦えるのかといった、目指していたことが達成できたと思います。マシンを傷つけずに走行するだけでなく、ウイークを通じて、あの名物コーナー、オー・ルージュを速く走れるようにもなったんです!また、私の25年以上前の現役時代を知るファンにも会えて、驚くとともにとてもうれしかったです。GT3マシンでの経験は多くありませんが、NSX GT3は初めて乗ったときからとても気に入りました。バランスがよく、しっかりとダウンフォースがあるし、電子制御もあり、特に、私のような経験の少ない者はとてもいいマシンです。この機会を与えてくれた、HondaとCastrolに本当に感謝しています。彼らのこの計画にかける情熱とファンの声援を目の当たりにすることができました」ロイック・デパイユ「まるで夢のような経験でした。すべてが目まぐるしく起こり、理解が追い付かないほどのスピードで進んでいきました。参戦を誘われてマシンをテストし、Hondaからはリカルド・パトレーゼがチームメートだと言われる…。まるでジェットコースターのようにいろんなことが起こりました。リカルドは私にとってはヒーローで、実は最初に彼に会うときには緊張して何を言っていいか分からなかったんです。3人のチームメートと働き、彼らがコクピットで何をしているのかをみられるのは最高の経験で、たくさんのことを学べました。テストから多くの仕事をしてセットアップをまとめていく中で、自分がこんなに速く走れることや、出せたラップタイムに感動しました。今週末、Honda NSXという偉大なクルマの歴史に名を連ねるのはプレッシャーでしたが、成果を出せて誇りに思います。レースの終了時には涙を流すほど、感動的な経験となりました。この素晴らしい24時間レースの経験を、子どもたちにも語り継いでいきたいと思います」
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